ゼロ距離まで【2】

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ベルムズ、知らないわけはない。Aの兄はそれに所属していてもう何年も帰ってきていない。

「…私には兄がいます、いました。ベルムズに所属しています。もう何年も帰ってきていないので兄がどこで何をしているのかは知りません…。」
「ああ、知っているよ。」

なんでも知っている先生が兄の事は大丈夫だとか心配するなとは一切言わず濁したということはそういう事なのだろうか。

「心配してないといえば嘘になりますけど、もともとそこまで仲良くなかったので…私は大丈夫、ですから。」
「そうか。…それより今回の、」
「隼人が里美に言ったんですよね。里美本人から聞きました。」

そうだったのかと先生は複雑そうな顔をしている。

「今の今まで嘘かと思ったんですけど本当なんですね…。」
「ああ。どんな理由だとしても本人の口から理由は聞いて欲しい。」
「…はい。」

Aは隼人のことを知らない訳では無い。むしろ性格をよく知っている。何も無く誰かを陥れるようなことをする人間じゃないことはAが一番分かっているはずだ。
ただ、あの事件の後にそんな事をしたのかと考えるとベルムズがもしかしたら何らかの形で隼人に関わっていたのかもしれないと疑わざるを得なかった。

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