ゼロ距離まで【2】

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15時過ぎに先生に起こされ、こぶにはなっていたがお礼を言って教室へ戻る。ドアを開けると隼人が一言悪かったと蚊の鳴くような声で言うからすこし笑ってしまった。

「んだよ。」
「もう冷やしたし大丈夫だよ。」

本当に申し訳なさそうに顔を歪める隼人にこちらが申し訳なくなってくる。

それから犯人探しの議論のようなものはほとんどされず心のどこかで名乗り出てくれるだろうというみんなの期待がチラホラ見え隠れしていた。

20時前になるとようやく里見が名乗り出ない犯人に痺れを切らし質問の回答をどうするかと全員に問いかけた。
最悪答える前にリモコンさえ奪ってしまえばここから開放される案も出ている。
しかしこっちの意図がバレた今、下手に動かない方が良さそうだ。

「先生が簡単にリモコン奪わせてくれるかな...？」
「どういうことだよ？」

里見はどちらかと言うとリモコンをとる方が早いと思っているようだ。うまく説明は出来ないがこの為に準備した計画で子供達の知恵で大人に歯向かうことなんて到底出来そうにもないからだ。

でも投稿者が名乗り出なければ誰かが死ぬ。
隼人は刻刻と迫る時間に苛立ち、誰だよと他の生徒にあたる。それをみた生徒の一人兵頭が隼人を煽った。

「お前だったりして。一番似合いそうだもんなアイツの苦しむ姿見て興奮するとか。」

明らかに悪意のある言い方だった。耐えきれずAはそんな人じゃないと言うと兵頭の襟を掴んでいた隼人の手が離される。思わぬフォローで目はまるくキョトンとしていた。

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