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依然動くことは出来ない。声も遠くからで何を言っているのかわからずAが声を出そうとしても上手く喋ることが出来なかった。
「A。」
「?」
体がほんの少し暖かくなった。耳元で囁く声をもっと聞いていたいと思ったが頬に当たる感触が気になりさっきまで目を開けていたと思った感覚は目を閉じていたみたいで目を開けようとする。ゆっくりと目を開けると壁に背をあずけAは座らされ、目の前には先程好きだと思った先生が心配そうにこちらを見ていた。周りを見ると一緒に死んだであろうみんなもいる。それにここはどこかの教室だ。
「先生も死んだの…?」
「バカ言うな。まだだ、ここは現実。」
「…え?」
「俺はお前達を殺してはいないし中尾も生きている。」
先生がしゃがんでいた体をずらすと奥から椅子に座った中尾が片手を上げ『お疲れ』と言った。Aは何が『お疲れ』だと言いたかったがそれよりまだ死んでない事、先生に会えたことで勢いよく目の前の先生に抱きついてしまった。
人殺しじゃない。
ただそれだけが嬉しく自然と瞳から涙がこぼれ落ちてきてしまう。でもなんのための偽装殺人なのか、これに意味はあるのか分からないがまた会うこと、感じることが出来たこの温もり、匂い、声を聞けてなによりも安心した。
「全員死んでなかった事に嬉しくなるのはいいがそろそろ離してもらっていいか。」
「あっ…!ごめんなさい。」
わんわんと嬉し泣きをするAを首から剥がすと先生は立ち上がりこれからの事を聞いてくれと説明を始めた。
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ただのオタク。(プロフ) - 続き読みたいです!頑張ってください (2020年9月23日 20時) (レス) id: 68c4d6e970 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆたま(プロフ) - natsumiairaさん» 私自身死ネタは辛かったので共感して頂けて嬉しいです(^-^)!ありがとうございます! (2020年7月19日 5時) (レス) id: d6938669f9 (このIDを非表示/違反報告)
natsumiaira(プロフ) - さくらさん» 柊先生の救済ルート本当にありがとうございます(^ ^)ずっと救済されるお話を探していたのですが、全くなく…(T . T)こちらのお話と出会えて感激しております!これからも応援してます♪ (2020年7月18日 23時) (レス) id: 6eaf9f081c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆたま(プロフ) - さくらさん» ありそうでなかった救済ルートです(^-^)ありがとうございます!がんばります! (2020年7月13日 1時) (レス) id: d6938669f9 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 初コメ失礼します!柊一颯救済ルー!嬉しいです!更新頑張ってください応援しています!あと、Twitterをフォローさせて頂きました!! (2020年7月12日 15時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆたま | 作成日時:2020年6月29日 3時