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先生はどうしてこのクラスが人質になったのか、わかる人は挙手するようクラスを見るが誰も手をあげることは無い。
「じゃあ宇佐美。」
「はぁ...?分かるわけないじゃん。」
いきなり当てられて気だるそうに答えたが先生は分かるはずだと香帆に答えを言い直させた。
「みんながブッキーにひどく当たるから...?」
それを聞いた先生は笑って違うと答えた。
たしかに教師に対するリスペクトはこのクラスにおいてほとんどの生徒は持っていないように感じる。
先生を先生として見ているものは澪奈やさくら、逢沢にAだけだと言った方が早いだろう。
でもそんな理由でそこまでの仕打ちはしない。先生もそう言っている。
「ほかのクラスにはなかったことだ。」
先生は諏訪唯月にヒントを与えた。唯月は横目で隼人をみて意味深げに警察沙汰になったヤツがいると答えた。
あの事件の事か。
私が守れなかった事件だ。
後ろを振り向くと一瞬隼人と目が合った気がしたけど隼人は椅子から勢いよく立ち上がる。
「てめぇ喧嘩売ってんのか。」
それでも唯月はすました顔で気にも止めてないようだ。
教室を歩きながら先生はある空席の机の前で止まった。
「そうだな、答えは違うが甲斐の事件は関係無くはない。」
その空いた席の机を少しばかり持ち上げると音を立ててわざとらしく下ろした。
Aの視線は先生に向いているがいきなりの音で体がビクついてしまう。
予想できた音だったのに。
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作者名:ゆゆたま | 作成日時:2020年4月9日 1時