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先生が黒板に見取り図を広げ爆破した廊下にバツの印を書くとトイレ、美術室、教室以外は行けなくなってしまったと言う。
A以外の生徒はほとんどが教室の壁にそって身を寄せあい固まってしまっていた。
「そしてこの教室にも至る所に爆弾がしかけられている。」
いち、に、さんと指をさしまたしても生徒からヒィっと情けない声が漏れた。
「おいおいそんなに怖がるなよ。Aを見てみろ。大人しく座ってるぞ。」
「こいつは怖気付いてるだけだろ。」
隼人がイラだったように言い捨てると即座に先生が違うと訂正した。
「お前は何も分かっちゃいない。まぁいいみんな席につこうか。」
それから先生は外部との連絡を断つために全員の荷物を回収しはじめた。
「どうしてこんな事...。」
「そうだよな、気になるよな。」
Aが質問とともにカバンを袋に入れると先生は人質になったのには理由があると言った。
タイミングよく教室のチャイムがなると授業を始めるのか先生は起立と声をかける。
もちろん誰も言うことを聞かず立ち上がるものはただ一人、Aだけで先生は何度も起立というが誰もたとうとしない。
「なんでだよ。」
「この状況みて従わない方がバカでしょ。」
先生だけを見つめながら隼人に言われたことをみんなに言うように大きな声で伝えると先生はニンマリと笑顔を向けた。
「Aは順応性が一番高そうだなぁ〜、きりーつ。」
先生は腕の時計を触るふりをしてみせると全員が慌てたように立ち上がり礼をした。一度爆発させたから恐怖が生徒の心を支配しているのだろう。
一見普通に見える起立の光景もこの教室では初めて全員で揃ってした気がした。
でもそこに、澪奈はいない。
「これから俺の授業を始める。礼。」
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作者名:ゆゆたま | 作成日時:2020年4月9日 1時