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教室が一瞬にして凍りついたことだけは分かったが同時にさくらのパンが涼音によって床に叩きつけられてしまった。
「あんたが間違えなければ、Aもそうよ、間違えた人間がっ...!」
乾いた音が教室に響く。さくらに手を挙げたつもりが代わりにAが平手打ちを受けていた。涙目になりながら目の前の涼音は肩をふるわせる。
今の私にはこうすることしか出来ない。さくらは悪くないし涼音の言いたい気持ちは痛いほど分かる。後ろで隼人がおい、と言う声が虚しく空を切っただけで誰も声を上げることが出来なかった。
「中尾くんも先生も止めれなくて、代わりになれなくてごめんね。」
声にならない声で涼音はその場に崩れ落ちた。手を伸ばすこともそれ以上慰めることも出来ず教室から出ようとした時、勢いよく扉が開き先生が入ってきた。タイミングのいい事、きっと準備室でずっと監視してたのだろう。
バレないように叩かれた頬を手で覆う。
欠伸をするように口を開けると口内にピリッとした刺激が走った。予測出来たらぐっと食いしばったものの庇うためだったので噛んでしまったのか口内に鉄の味がぶわっと広がった。
「やりにげXをは誰だ。」
今日も人質としての授業が始まる。
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作者名:ゆゆたま | 作成日時:2020年4月9日 1時