ゼロ距離まで (ページ19)

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それから帰れる時は一緒に下校したり姿をどちらかが見つければ途中から登校したりといい距離感で澪奈とは接していたと思う。
しばらくして茅野さくらという人物に興味があるとAに告白してきた。
告白も何も普通に話せばいいだけの話だとつたえたがどうにもこうにもその茅野さくらという人物は怪しいらしい。
なんでも澪奈の隠し、どりが趣味だとか...。
最初本人から聞いてびっくりしたがケロッとしている澪奈をみるかぎり重大さは全くもって感じなかった。

「ねぇ、あれ...。」

夕暮れの教室のドアを開けようとした時、澪奈が腕を前に出し歩くのを遮る。なんだと教室の中を覗くと茅野さくらが寝ていた。
ああ、これは終わった。たぶん彼女の人生終わった。そう直感するしかなかった。なぜなら遠くからでもわかる澪奈の盗さつ写真が沢山広がっているからだ。

それでも澪奈は面白く感じたのか茅野さくらを起こしてどうして私の写真ばかりとるのか、と本人に聞いていた。
当の本人は澪奈の事をエ□いだとか、エモいだとかいっていて仕舞いにはプロレスで例えてきて何が何だかわからずポカーンとするさくらを置いて二人で笑ってしまった。

「友達にならない？」

そこから私達は三人で行動するようになった。
多分、その時からかもしれない。自分の中に変な感情が生まれてしまったのは。
三人で遊んで、さくらと澪奈の大会を見に行って充実した日々だったけどその変な感情は日に日に大きくなっていった。

ある日、澪奈がさくらに贈り物をしたいからといってプレゼントを一緒に選びに行った時にその感情に気づいてしまう。
気づかなければよかったのかもしれない。
自分の醜い感情。

「ねぇさくらはどれがいいかな？」
「なんでもいいんじゃない。」

ぶっきらぼうに答えて澪奈を困らせてしまった。眉尻を下げどうしたのと笑う澪奈を横目に買う気のないネックレスを手に取り眺めているフリをして無視した。

「これさくらに。それとAにも！どうかな？」

登校中にいつの間に買ったのか澪奈はさくらだけでなくAにもプレゼントのハンカチを用意していた。喜ぶさくらとは正反対に一言ありがとうといってすぐカバンの中にしまい込んだ。
本当はすごく嬉しかったしプレゼントもその場で開けたかった。でも変なプライドがそれを許さずそんな態度しか取れなかった自分が嫌になる。ああ、これが嫉妬なのかと醜い感情が心を支配した。