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準備室前につくと来たことがわかっていたかのようなタイミングで扉が開いた。
中に入るよう促され久しぶりに入る準備室はいつもとは全く違う場所に思えた。なぜならばたくさんのモニター、封が開けられていないダンボールがある。
椅子を用意されたので座ると先生はモニターに向かって話し始めた。
「茅野。お前学級委員だからAの代わりに話をまとめておいてくれ。ただ、答えるのはAだ。モニターで状況はみているが体調が優れないみたいだからここで休ませる。安心してくれ、話は聞こえるようにしている。」
「わ、私に拒否権は...?」
「ない。」
ですよね、とAを見ると顔は青ざめ手は震えている。本当に体調が悪いようなので何かあったら呼んでねと言って準備室を出た。
先生はモニターから目を離すとクルリと椅子をこちらに向けた。
「今お前は他人の意見を聞く力が必要だ。」
「聞く力...。」
そうだと言って目を細め、頭に手を乗せそのまま髪を撫でた。
「A、お前は今を生きてるか?」
「私は──。」
答えを聞く前に先生はニヤリと笑い口を開いた。
「ゾクゾクさせてやるよ。」
不覚にも悪魔のように笑う先生も嫌いじゃない。そう思ってしまった。
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作者名:ゆゆたま | 作成日時:2020年4月9日 1時