ゼロ距離まで (ページ13)

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クラスに戻ると前だけでなく後ろの扉も自由に開くようになっていた。
瀬尾や華はこの状況においても腹は空く、そういってお弁当を広げ、あとは先生が本気で生徒を殺そうとしているのかどうかを話し合っている。

「なぁみんなでここから逃げないか。」

ずっと静かに外を見つめていた里見がそのまま窓を見つめながら言う。
窓の外ではグラウンドにほかのクラスの生徒達が避難して先生が集まり話をしている。
そんな先生達に気づいてもらうため一斉に外にむけてSOSを発信するが誰もこちらを見ようとしない。見たとしても全く気づいていないようだった。
Aは椅子に座り助けを呼ぶみんなをじっと見つめている。
隼人に一瞬舌打ちをされた気がしたがそんな助けを呼ぶ元気さえもない。
自分が20時になったら自首すればみんなが解放される。それだけでいいんだ。

「助けを呼ぼうとしても無駄だよ。その窓ガラスは外からだと中の様子が見えないようになってる。」

先生はどこからか見ているのだろう。先生の声が教室に響く。生徒達の行動を監視している。
よく見れば頭上には監視カメラがキラリと光っていた。

カゴに閉じこめられた鳥。そんな気分になってしまった。

「A、お前は公平な立場で考えるべきだ。茅野と一緒に準備室に来い。」
「...。」

背中に刺さるみんなの視線を払い除け教室を出て準備室へ向かう。いま頭の中ではどうみんなに説明しようか考えている。
どうして澪奈は死んでしまったのか。