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「──お前か。なんだ、戦か？」
「はい。…あそこのシャドウサーヴァント……おそらくキャスターを、倒してほしいんです」
「あァ…わかった」
そこにいたのは真っ黒な着物を着崩し黒い羽織を着る男が立っていた。その腰には刀が一振りと、似つかわないゲーベル銃が一丁。
あの黒い人と戦う彼(女)らは、身体の至るところから血を流し、武器を振るっている。だが傷はどれも浅いらしく、流れる血はすぐに止まっていた。
「キャスター、ルーラー、バーサーカー、アーチャー、ランサー！戻ってきて！」
「だけどマスター、」
「早く…！……私に、令呪を使わせないで…！」
「…わかった」
ランサーと呼ばれる男は多少渋りながらもマスターの元へと帰る。
着物の男だけは黒い人の元へ向い、刀を抜いていた。
「幕末のバーサーカー！スキル、『局中法度』！」
「退くやつは…斬る！」
『幕末のバーサーカー』と、そう呼ばれた着物の男は時に刀を時に銃を使いその黒い人と戦う。
黒い人が手を振りかざすと、何か…所謂魔法のようなものが彼に向かう。しかしそれを彼は避けようとせず、ただひたすらに真っ直ぐ走り、刀を振るった。ぐっ、と唸る相手に、うるせぇと言いながら腰に提げた銃を抜き取っては、その銃口を黒い人に向けた。そしてなんの躊躇いもなく、引き金を引く。バァン、と周囲には爆音が響き渡り、黒い人の倒れる音が響いた。緑谷は、勝った、と思ったが実際そんな訳はなく、黒い人はあっさりと立ちあがりコキリと首を曲げた。そしてその首を元に戻すと、またあの魔法のようなものを使う。幕末のバーサーカーはそれをまた避けようとはせずに立ち止まったままだった。彼の服の至るところは切れ、あらゆる場所から血が溢れている。相手もだが、彼も十分に息が上がってしまっているらしい。呼吸をする度に方が上下している。
「……幕末のバーサーカー、もう、大丈夫？」
「…いいや、まだだ…。あと、少しだがな」
幕末のバーサーカーは額を流れる血を荒々しく拭き取るとマスターの問いかけに返した。マスターは一瞬考え、自分の右手の甲をみた。
───令呪は、あと二画残っている。
マスターはその橙の瞳を輝かせると、右の手を上空へと掲げた。
「──令呪を以て命ずる…！幕末のバーサーカー、宝具を解放して──！」
マスターのその叫びに、幕末のバーサーカーは待っていたと言わんばかりの笑顔で、
「俺が──新撰組だ…！！」
と叫んだ。
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作者名：黒崎 | 作成日時：2019年3月16日 18時
