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「──という訳で、今日からしばらくこのクラスの監督役になる、」
「藤丸立香、です。よろしくね」
「「「・・・はぁ───！？！？！？」」」
「うるせぇ」
少し前まで立香は、どうなろうが戸惑わないで居よう、と決めていた。
ここ、1-Aの担任、相澤消太はクラスに入る前立香にひとつの許可を取っていた。それは、立香がこのクラスに入る"本当の理由"を生徒たちに話しても大丈夫かどうか、であった。立香はまだ伝えていないのだが、本当のところを言うと、この世界この時代の聖杯を回収してしまえば……つまり特異点を修復してしまえば、そこは元に戻るのだ。簡単に言えば、元々この世界に存在しないはずの立香や彼女のサーヴァントたちがカルデアに戻るとそれだけで、元より存在する者たち……例えば相澤やオールマイトの記憶から、"藤丸立香"と言う存在は無かったこととされるのだ。つまるところ、この世界この時代を正統に生きている人々は異分子である立香たちの事を忘れる。今まで行った特異点でもそうだったように。
そのことは未だ伝えていない、が、伝える必要も無いだろうと立香はたかをくくり、ただ良いですよとだけ返した。
その結果。必要な部分だけを話し極端なところは全て省くという合理性に身を任せた説明が行われた。それに立香は、驚く他ない。
「……質問だったりは今のうちにしとけ。あと10分で授業は始まるからな」
そう言うと相澤は早々と教室から出ていってしまった。周りのクラスメイトとなる者たちはなれているのかしばらく相澤の出ていったあとを見ては立香に声をかけ始めた。
「なぁ、俺上鳴電気！なんか先生の説明難しかったんだけど、つまりお前はこの世界を助けに来てくれたんだよな？」
「あー、上鳴、ね。まぁ……簡単に言っちゃえば、そんな感じ」
「スゲーな！もうヒーローじゃん！」
上鳴の一言に、立香は少しだけ喜びながら言う。
「……でもね、上鳴、私は──」
──私は、英雄(ヒーロー)なんかじゃないよ。
立香はそう伝えた後、まるでなにもなかった言わなかったかのように次は、と尋ねた。
『──…まったく、ほんとにマスターは変わんねぇなぁ』
虚空から声が響いた。美しいテノールの声が。
『あぁ、まったくだ。主は私たちの主であることに変わりは無いのにな』
次に響くのは、よく通るボーイソプラノ。上鳴をはじめとしたクラスメイトたちは驚き辺りを見渡すが、そこには矢張誰もいない。
続く (更新停止中)
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作者名：黒崎 | 作成日時：2019年3月16日 18時
