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「……あぁ、俺か。俺は新撰組副長、土方歳三だ」
「新撰組の副長…！彼まで召喚？できるのか…！」
「えぇ。沖田総司もいますよ」
もっとも……私のカルデアには呼べてないけど。
立香は泣きそうになりながらその言葉を押さえた。
「それより思ったんだが、何故真名を隠していたんだい？」
ふと気になったのか、オールマイトが尋ねた。立香は口を開こうとし、そして閉じた。立香の代わりに……と言わんばかりに、ランサーは口を開く。
「真名がバレてたら自分の死因や弱点までバレるでしょ？例えば……あぁ、イリアスの大英雄、アキレウスとかね」
「アキレウス、と言えば踵が弱点の？」
「うん、そう。他にはジークフリートの背中とかかな」
「……確かに、それは知っていたら弱点がバレてしまうね」
「そう。だからオジサンたち英霊は、真名を隠す。それが１番、マスターの為になるから、ね」
ランサーはオールマイト…いや、校長と相澤にも、か。そう言うと、あぁそうだ、と続ける。
「オジサンはランサー、真名をヘクトール。さっき言った踵が弱点のアキレウスに殺された、ただそれだけの人間ですよ」
「トロイアの兜輝くヘクトールか！なんと心強い…！」
「……オジサンはただ、国を守って死んだ、平凡を望んだだけの人だよ」
ヘクトールは目を伏せそう言った。
──そんなことはないのに。立香はそう口にしようとして、止めた。きっとそう言ってしまえば、ヘクトールはまたあの作られた薄ら笑いの仮面を張り付けたしまうにちがいない。マスターが言うならば、と。立香は、ヘクトールのその顔は好きではないのだ。……と言うのも、きっと第3の特異点──オケアノスでのことがあるからかもしれない。嫌いではないが、好きにはなれない。立香はその顔を、ヘクトールのものではないと思ってしまうのだ。
「……ヘクトール」
「ん、なんです、マスター」
「──なんでもないよ、私の一番槍」
「……あんたにそう言われるのも、悪くはないな」
くすり、とヘクトールは立香の好きな、あの笑顔を浮かべた。やっぱりヘクトールはちゃんと笑った方が格好いいよと告げると、ヘクトールは少し顔を赤くして困ったように微笑んだ。
17→←15(注意。気分を害されましても当方では責任を負えません)
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作者名：黒崎 | 作成日時：2019年3月16日 18時
