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「──ひとかたまりになって動くな！」
それは、所謂ヒーローの金の卵たちがはじめての救助訓練を行おうとしていた時だった。
下の広場に現れたモヤモヤのワープゲートと、数十はゆうにはいるであろう敵。その中心に立つのは、──このような表現をすべきなのかはわからないが──手のようなものを身体中に着け、水色の髪を持つ、自分達より少し上くらいの歳であろう男。なにやら呟いているが、ぼそぼそとしか少年少女には届かない。
しかし1人、しっかりとそれを聞いた少年がいた。
(オールマイトを…!?)
緑谷出久。何を隠そう、彼こそオールマイトの後継者である。彼は聞こえた声に顔を歪めると、敵たちをじっと見つめた。一歩、前に足を出すと、彼の担任の相澤消太が叫ぶ。
「動くな！…あれは、敵だ！」
──その日緑谷たちが目にしたのは、途方もない悪意と、目を背けられない現実……ただそれだけであった。
─────────
「もう大丈夫！──…私が、来た！！」
相澤も行動不能とされてしまい、生徒のひとりである…蛙吹梅雨も危険な状態になった瞬間、No.1ヒーローの…オールマイトが現れた。たがいつものように笑ってはおらず、どちらかと言えば怖い顔をしている。
彼が現れた瞬間、赤目の敵は喜び、隣に居るモヤモヤに話しかけた。
「黒霧ィ！もっと連れてこい。…殺すなら、確実にだ」
「……わかってますよ、死柄木弔」
モヤモヤが返事を返すと、ぶわっ、と彼のモヤ部分が広がる。そして、そこから出てきたのは……相澤が、たった数撃で屈した相手──脳無──であった。
今現在、オールマイトでさえも手こずっている相手が、計3体。しかもその全員がオールマイトを殺す気で来ている。それだけではない。…まるでコミックに登場していそうな岩石兵…ゴーレムが、数十体。さすがのオールマイトも、既にほとんどの力を失ってしまっていれば、敵うはずもない。しかしだからと言って生徒たちに戦わせ怪我を負わせるわけにもいかない。オールマイトはそんな感情の中で揺れた。
そんなとき、だった。
彼の…彼らのいる付近に、4つの影が落ちてきた。…そう、落ちて、きたのだ。
「っ、なんだっ…！？」
驚きから緑谷が声をあげる。
辺りに立ち込める土埃の中、そこから現れたのは──3人の少女と、1人の中年であった。
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作者名：黒崎 | 作成日時：2019年3月16日 18時
