【ヒロアカ】王臣紋は未だ消えない【べるぜバブ】 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:2,347 hit

ep.1 ページ1

憧れの高校、雄英高校へと歩を進める少年、緑谷出久は自分の体より少し大きめの制服を着ていた。
　今日はずっと前から心待ちにしていた、初登校日。まさか元々無個性の自分がこの学校へ入れるなんて、と思いながらクラス分けの表を見る。

「あ、」

と小さく声を上げる。
見知った名前があったからだ。
『爆豪勝己』。幼なじみで、無個性の緑谷を嫌っていた本人。
　やはり雄英には受かっていたようで、緑谷より2こ前の出席番号だ。

　少し嫌だな、とは感じながらも、自分は変わったんだ、変わるんだ、と自身を鼓舞しクラスであるA組へと向かった。

,

　ドキドキと高鳴る胸を押さえつけやけに大きいドアの前に立つ。
ドアへと伸ばす腕が震える。

　ドアを開けた。

　その瞬間、緑谷の目に入ったのは2つの光景だった。

「机に足をかけるな！雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ。てめーどこ中だよ端役が！」

「ああ？高校来てまでなんでてめぇの面ァ見なきゃなんねぇんだクソフランスパンが！」
「こっちの台詞だバカが。その幼稚な頭人並みにしてやったのは誰だと思ってんだ？」

　ヤバイ。

　いや確かに手前2人もヤバイのだがなにより奥がヤバイ。
口喧嘩ではなく、しっかりと掴み合いの喧嘩になっている。

　緑谷がそう目を点にしていると、1人こちらへ向かってくる少年がいた。
　先ほど爆豪と口論をしていた、眼鏡の背の高い少年だった。

「おはよう！俺は私立聡明中学出身、」
「き、聞こえてたよ。飯田くん、だよね？」

　よろしく、と手を伸ばすがまた奥から声が響く。

「てめぇいい加減にしやがれ！このハゲが！」
「あ"あ"!?お前の目は節穴か！どっからどう見てもハゲじゃねぇだろ！」

　睨み合うふたりを緑谷は観察した。

　1人は明らかに普通より長いだろうと言うほどの銀のリーゼントに色眼鏡で、もう1人は唇から耳にかけてのチェーンに頬の大きな傷。
　所謂不良、と言うやつなのだろうか。

　そしてまた思い出したことが1つ。

　今年から加わった、特別入学枠のことだ。
　強い個性だったり敵になると厄介な個性をもつ者だけが選ばれ、そして拒否権はほぼない。
しかし筆記試験と言うものは一切なく、実技試験のみ。

そんな制度が、今年からできたのだった。

　もしかして、と緑谷が考えたその瞬間、後ろから声が聞こえた。

「お友達ごっこがしたいならよそへ行け。ここはヒーロー科だぞ」