人魚と坊や ページ3
私は砂浜から近くにある教会を見上げるのが好き。
人魚の世界は音楽が盛んで綺麗だと言うのは人間の妄想、いや、音楽が盛んで綺麗なのはほんとだけど、実際は鱗の色やヒレの形で差別が簡単に起きる階級社会だ。
私はヒレの形が赤と白の模様だから仲間に入れてもらえない、でもいつか復讐するのだ。奴より飛び切り綺麗な歌声を手に入れて多くの人を魅了してやる!
人間と話してみたいと思った事は有るけど、余程綺麗な心の持ち主の人間でないとお互いの言葉にモヤがかかって話せないから唯の願望よ。
「わ〜人魚さんだ〜」
誰かの声。今人魚は海底で音楽界をやってるから私の目の前にいるこの子が発した言葉なの?人間の言葉がハッキリ聞こえる、凄いわ!
「こんにちは坊や、私は人魚のプレソ」
「僕は人間のヤカン、宜しくね!」
「素敵な名前ね夜の間の様な静かな時間は好きよ?」
「ありがとう!初めて褒めて貰ったよ!ヤカンって言うのはヤカンと一緒に捨てられたからそう呼ばれただけだから褒められて嬉しかったよ!プレソお姉さんの名前も素敵だよ!」
「ごめんなさい、ヤカンって言う道具があったのね?人間の国の事は知らないのよ。本当に綺麗だと思ったのごめんね」
ヤカン君に劣等感を感じて欲しくなかったから必死に謝った。
「人魚の国にはヤカン無いの!凄い!もっと聞かせて!」
それから私とヤカン君は交流を持った。
海と陸の違いや現実、歌を一緒に歌ったりして楽しく過ごした。
「僕本当はね、パパとママにはヤカンじゃなくて名前が欲しかったんだ……」
「じゃあお姉さんが名前付けてあげよっか?」
言うとヤカン君の目がキラキラした、軽はずみにつけるものじゃないけど。
「え?!付けて付けて!」
「んー、じゃあねぇ、クルイトとかどうかしら?」
「クルイト!かっこいい!ありがとう!!もうパパとママを恨まなくて良いんだね!」
ヤカン君改めクルイト君はずっとこの感情を持ち続けていたの………可哀想に。
「フフフ、復讐なんて考えちゃダメよ」
「うん!」
それから私はクルイト君と歌った時の声が認められ、深海の歌姫になりクルイト君と会えなくなった。それは寂しかったしクルイト君に申し訳なかったけど「おめでとう!」とクルイト君に言って貰ったから頑張らなくちゃ!
クルイト君は綺麗な心のままで、お嫁さんを貰って、幸せになって欲しいわ。
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作者名:名無し12503号 | 作成日時:2020年10月3日 23時