11.？？？ said ページ12
ある男が荒れた廃墟の中を彷徨っていた
何かから逃げているような...
“はぁはぁ”
奥の方まで来た時
朽ちかけてるアルテミス像を見つける。
“なんだこれは！？”
そのアルテミス像の美しさに
時が経つのも忘れるほど魅入ってしまった。
やがて日が落ち、月の光が
朽ちた廃墟の天井から覗き込んできた。
月の光によって更に神々しさを増した
アルテミス像
しばらく見ていると
光り輝き始め
ヒビが入り朽ちかけていた像が
綺麗になっていった
“どういうことだ！？”
男は戸惑いながらもそれをじっと見ていた
すると白い色をしていた像が
肌の色を持ち女の人の姿に変わった
“君は誰？”
男の問いに彼女は悲しく微笑むだけだった
石像の時にあった
背中に生えていた翼がなくなっていて
その姿は完全に人間と同じだった
ただ顔半分は仮面で隠れていた
それでも男は彼女の虜となっていた
月日が流れ愛しくて想い合う仲となった2人
しかし彼女の仮面はついたままだった
“君の素顔が見たい”
男がどんなに願っても彼女は首を振るばかりで
仮面を外す事はしなかった
そんなある日
月の光が彼女に纏いあの日と同じように
光り輝き始めた
“お別れが来ました
私は月に帰らねばなりません”
初めて聞く彼女の声は透き通って清らかだった
“嫌だ！！愛してるんだ
ずっと側にいてくれないか”
男がどんなに縋っても光りは増していった
彼女は男に近寄りそっと仮面を外した
すると今まで眩しい程に輝いていた光が消えた
初めて見る彼女の素顔はとても美しかった
男は彼女が留まってくれたと思い喜んだが
次の瞬間
彼女は石像に戻り砂の様に散ってしまった
“あなたの元にいられないのなら
せめてあなたが望んだ私の顔を見せましょう
例えこの身が朽ちる事になるとしても...”
彼女の最期の言葉で
男の頬に一筋の涙が流れた。。。
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作者名：アン | 作成日時：2023年12月28日 23時
