きいろのパーカー (ページ11)

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「誰探してるの？」

後ろからあきらかに耳元で囁くように言ってくる

もうだいたい目星はつく、

「誰も探してないよ、また掴んでるし、、？」

樹「なんか呆れてない？」

なんでなんで！と駄々をこねる樹くん

めんどくさい人に捕まっちゃった、、

樹「昨日なんで帰っちゃったの？」

俺あのあと大変だったんだよ！と言う彼だけどどうせ北斗くんに色々聞かれたんでしょ

どんなに嫌な顔をしても当然樹くんは離してくれなくてやっぱり男の人には勝てないなぁと自覚する

樹「、、細くて心配になるくらいなんだけど」

ボソッと樹くんが言う

「、なにが？、」

樹「Aちゃんの手」

「、そ、そんなこといいから！早く離してよ、」

ほら、また昨日みたいにそうやって真面目な顔になる

謎に緊張しちゃうから、やめて欲しい

樹「じゃあ今度俺とデートしてよ」

「、、むりだよ」

樹「なんで？！」

「樹くんきっと北斗くんに自慢するでしょ、」

樹「やっぱまだ北斗のこと好きなんじゃん」

「ちがう、、よ」

うん、ちがう、、好きなんかじゃない

ただ、

ただ気になっただけ、、

私のせいで非日常が送られてないか、少し心配なだけ

北斗くんにはまた同じことを繰り返して欲しくない

純粋に幸せになってほしいだけなの

「好きなんかじゃない、」

そんな正直なこと樹くんに言えるわけなくて、昨日と同じ返事をしてしまう

樹「ならデート決定ね～」

そんなこと言いながら私の手なんかスルッと離して女の子たちのところに行ってしまった

「なにしてんだ、私」

廊下は帰る人がほとんどなのに突っ立っている私

急に1人になって少し心が冷たくなる

沙紀の言った通りだ、私沙紀に心配ばかりさせてた

ほんとやになっちゃう

「どんな顔してんだよっ」

いつのまにか目の前にはさっきまで探していたたろがいた

可愛いなぁーってほっぺをぷにぷにしてくるたろ

「たろ～！！」

何故か分からないけど今は誰かに抱きつきたい気分だった

たろもどうしたんだよォ！！って言いながら抱き返してくれる

たろの腕の中ってなんでこんなに居心地いいのな、？