ごめんね ページ7
「────以上で、新入生点呼を終わります。えー次に、珍しいことに、編入生が入ってきました。では桜之君、壇上へ」
「はい」
やはりというか、予想通りというか、とてつもなく視線が痛かった。
もう前だけ見て歩こう。皆の顔はじゃがいもだ。
そう思いながら壇上へ上がる。
そしてマイクの前で一礼し一言。
「3年蓬組に転入してきました、桜之 Aと申します。たった一年と短い間ですが何卒よろしくお願い致します」
そして得意の営業スマイル。
周りがざわつくがそれはほっとく。遥が小さく手を振ってるのが見えてそれには本気のスマイルを返しておいた。ビバ弟。
そして壇上から降りると蘭がやってくる。
「クラスまでご案内します」
「ありがとうございます、緑川先生」
一応の関係が義理の兄妹とは言えここでは先生と生徒だ。
お互いに営業スマイルで周りの空気が冷たくなっていってることには気づいてない。美形の笑顔は怖いんだ。
***
「──っ桜之さん!」
「ほわっ!?」
案内された教室に入るや否や唐突に背後から飛びつかれ、思わず変な声が上がる。
驚いたものの、倒れはしなかったのでそろりと後ろを振り返るとそこには───かつての蟲柱、胡蝶しのぶがいた。
彼女は瞳をうるうると潤わせながら口を開く
「桜之さん…っ…また、会えましたね…っ…よかっ、た…」
その言葉で、前世の記憶があることを瞬時に理解した。
そして、その後に紡ぐべき言葉も。
……ごめんね、しのぶ。
心の中で謝って
「───えっと、誰、ですか?」
困ったように笑いながら、私はそう言った。
途端しのぶの表情が固まる。
……ごめんね、でも、まだ終わってないの。だから…
「Aさん、ちょっといいですか」
「あっ、はい。…えっと…名前は…」
「ぁ…胡蝶しのぶ、と申します…」
「じゃあ胡蝶さん、またあとで」
蘭がタイミングよく呼んでくれたので…てか多分タイミングを見て呼んでくれたので当たり障りのない挨拶をして蘭の元へ行く。
それを見送ったしのぶの表情はついぞ見れなかった。
「…余計なお世話でした?」
「ううん…ありがと」
今回ばかりは助かった、と蘭にお礼を言う。
そしてその後、私はさらに頭を抱えることになるのだった。
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とうみん(プロフ) - バレてしまう時を楽しみに待っていた私がいた。これからの展開に胸を躍らせる私がいる。あ、この作品好き。 (2020年12月21日 16時) (レス) id: 3cb4113b8b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 好きです!もう最高!過保護な彼らが可愛くて仕方がないです!更新頑張ってください! (2020年12月13日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
実弥 - 更新ファイト! (2020年12月12日 18時) (レス) id: b8ee803632 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 一気に読みました!とても面白い内容で感動しました。次も楽しみにしてます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 0492b38da7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月27日 8時