何故に ページ31
それから数分経った。目の前の義勇はしゅんとしながら何も言わない。その顔ヤメテ。
このまま帰ってもいいのだがそれは流石に可哀想に思えた。完全に追い打ちをかけるというか、止めを刺す様なものだろう。
…そういえば蘭にも昔言われた。優しすぎる、と。
いや何処が?と返したし、今もそう思うが、もしかしたらこういう所を言っていたのかもしれない。
仕方がないので私は一度体育倉庫に行き、竹刀を一本手に持って戻ってきた。
義勇は戻ってきた私の手に握られているものを見て驚いているようだったが、それに構わず切っ先を向ける。
「最終選別だと思ってくれればいい。そうだね…期間は明日から七日間。放課後、私は最終下校時刻まではここに来る。七日のうちに、私に擦り傷一つでも付けられたら…まぁ、いいんじゃないかな」
認めてあげる、と偉そうには言えずそんな言い方にはなったが兎にも角にもこれでなんとか諦めさせ───
「言ったな。ちゃんと守れよその言葉」
「…え?」
「私も聞きました。桜之さん、もう逃がしませんよ?」
「…はい?」
「僕も言質取ったよ、姉さん」
体育館の扉からゾロゾロと顔を出したのは、天元、しのぶ、無一郎。
…どういう組み合わせ?
「…って、皆は呼吸使えないでしょ!」
「お前の条件に呼吸を使えること、なんてなかっただろ」
「要は四人で頑張って擦り傷一つ付けばいいんですよね?」
「ちょっ…私は義勇に言ったのであって…!」
「…!!姉さん」
「ってあ!名前呼んじゃったじゃない何してくれてるのー!?」
「知らないよ。姉さんが勝手に呼んだんでしょ。それにさっきの条件で一人じゃないと駄目なんて一言も言ってない」
なんだこの屁理屈モンスター達は。と若干目眩がしてきた。
呼吸が使えないとはいえ元柱の三人と、常中が出来ないとはいえ呼吸が使える義勇。今は堅気のこの子達に怪我をさせるわけにはいかないので四人の攻撃をこれから七日間、午後の授業終わりから最終下校時刻までここで反撃はせず躱し続けなければならない、と?
新手の嫌がらせか。
…こうなったらこっちだって。
「……」
私はスッ、とスマホを取り出すと通話ボタンを一つ押した。ワンコール後スマホからもしもし、と声が聞こえる。
「今から1分以内に体育館に来て来なきゃ…えっと…怒る?…うん、怒ろうかな。てことでちゃんと来てね。じゃあ。……よし」
とりあえず四人とも、一分だけ待って…?
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とうみん(プロフ) - バレてしまう時を楽しみに待っていた私がいた。これからの展開に胸を躍らせる私がいる。あ、この作品好き。 (2020年12月21日 16時) (レス) id: 3cb4113b8b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 好きです!もう最高!過保護な彼らが可愛くて仕方がないです!更新頑張ってください! (2020年12月13日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
実弥 - 更新ファイト! (2020年12月12日 18時) (レス) id: b8ee803632 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 一気に読みました!とても面白い内容で感動しました。次も楽しみにしてます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 0492b38da7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月27日 8時