ズレてるのは ページ26
そして私にはもう一つ精神的にキツイものがある。
「───姉ちゃん!」
「…もうそれやめない?」
「辞めないわ!!むしろ心の底から呼んでんだよ!!」
善逸達が何を吹っ切ったか知らないけれど、ところ構わず話しかけてくるようになった。しかも満面の笑みで、姉扱いをしてくる。
昔は可愛かった。…いや、今も可愛いよ?うん。めちゃくちゃ可愛い。
…でも。
(…多分これ許したら駄目な気がする)
私はかつてずっと言っていた。鬼殺隊の子達はもれなく私の弟妹だ、と。
つまり、姉扱いを許したら…まぁそういうことだ。
「もっとこの場に相応しい呼び方がさ?ほら、先輩ー!とか。青春じゃない?知らないけど」
「適当すぎない!?そんな嫌ァァ!?」
「ソンナイヤ」
「嘘下手かよ!!」
仕方がないじゃない。ただでさえ善逸はあの頃素直に姉呼びをしてくれた可愛い子なのだ。今でも慕ってくれていることに罪悪感はあれど嫌悪などあるはずがない。だが、許すわけにもいかずもう思考を放棄したくなる。
「…ねぇ、なんで話しかけてくるの?」
「ウ゛ッ……迷惑…?」
「…いや、そんなことはないからそんな顔しないで。……だからって嬉しそうな顔もしないで」
「しょーがないでしょーが!!姉ちゃん見てると頬が緩むんだよ!!」
「…体鍛える前に表情筋鍛えたら…?」
「辛辣!!」
…体鍛えてるとこ否定しないのね。そう、へぇ…。
「…迷惑っていうか純粋に疑問なの。…私さ、関わらないでって言ったよね…?あれ、言ってない…?心の中で言っただけで口に出てなかった…?」
「言ってた、けど」
「けど?」
「怪我してる姉ちゃんほっとけるわけないじゃん…」
この子達のお人好しは健在のようだ。ただ私にとっては喜ばしいことじゃない。体を鍛え始めてるのだとしたら多分徒労に終わるよ?一応確実に鬼は数を減らしているし、私が刀を渡さない限り善逸達がどれだけ体を鍛えようと、例え呼吸をまた使えるようになろうと鬼を倒すことは出来ないのだから。
「…あのね、私じゃなきゃ怪我していいってわけじゃないでしょ。というか多分皆が怪我した方が大変だよ。主に家族とか、悲しむよ」
「姉ちゃんだって家族悲しむでしょ」
「………いや、悲しんではない、カナ…」
蘭は怒っているし、遥はのほほんとしている。
…悲しんでほしいとは思わないけど、義兄弟の感覚のズレ具合が少し心配な私だった。
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とうみん(プロフ) - バレてしまう時を楽しみに待っていた私がいた。これからの展開に胸を躍らせる私がいる。あ、この作品好き。 (2020年12月21日 16時) (レス) id: 3cb4113b8b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 好きです!もう最高!過保護な彼らが可愛くて仕方がないです!更新頑張ってください! (2020年12月13日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
実弥 - 更新ファイト! (2020年12月12日 18時) (レス) id: b8ee803632 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 一気に読みました!とても面白い内容で感動しました。次も楽しみにしてます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 0492b38da7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月27日 8時