泣かれたの ページ19
お昼休み。
遥と2人で英語準備室でお弁当を開く。
因みにお弁当は蘭が毎朝作ってくれてる。…やっぱり母属性がついて来ている気がしている。
「……」
「お姉様」
「……」
「お ね え さ ま」
「……」
「…えー、元私の上官で軍で小隊長を務め、元鬼殺隊虹柱を務めていたらしい 桜之──」
「はいただの一般生徒、桜之 Aです!」
「ただの一般生徒は自分のこと一般生徒だなんて自称しませんよ、ふふ。……ところでお姉様、今日はなんだか元気がないようですけど…何かありました?」
目敏い義弟は簡単に私の心を読む。加えて知らぬふりというのをしてくれないのだから、案外意地が悪い。
「…泣かれたの」
「誰かフッたんですか?」
「弟扱いしてくれないって泣かれたの!」
「フッたんですか」
「遥私の話聞いてる!?」
「もちろん、聞いてますよ。ですから、弟にしてくださいって言われたのをフッたんでしょう?」
「…そう、なるの、か…?」
フルって、恋愛的な関係にしか適用されないと思っていたのだが、この場合も当てはまる、らしい。知らないけど。
「──Aさんが数多の人間を泣かせるのは今更でしょう。それが生き甲斐なんでしょう?」
ガチャリと扉を開けて入ってきた蘭が刺々しくそう言う。…まだ怒ってるのかな。
「来て早々あらぬ誤解をしないでよ、蘭。…まだ医師免許の件、根に持ってる…?」
「ははは。持ってますけどなにか」
笑うものの、目が笑っていない。怖い。
「……遥ー!!」
「はーい、よしよしお姉様、いいこいいこ〜」
「遥さん、Aさんを甘やかさないでください。また怪我して帰ってきますよ」
「それは困ります。お姉様が痛がるのは…可愛いですけど可哀想です」
「貴方達ってホンットドSよね」
戦場で出会ったこの運命共同体の2人はやはり頭のネジがどこか外れているのだろう。感性がおかしいと常々思う。まぁ私も人のことは言えないのだが。
「…ところで、さ。蘭はなんでそんな医師免許取らせたこと、怒ってるの…?そんな怒ること…?」
「……………」
「蘭…?」
「…はぁ…怪我した生徒や体調の悪いらしい生徒が保健室ではなく私のところに来るんです。医師免許持っているので。診察してくださいって。ははは、笑えますよね」
「笑ってない…蘭、顔が全然笑ってないよ…」
「目の診察が必要ですか?」
「すっっごい笑顔だね!素敵!!」
私はひらりと手のひらを返した。
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とうみん(プロフ) - バレてしまう時を楽しみに待っていた私がいた。これからの展開に胸を躍らせる私がいる。あ、この作品好き。 (2020年12月21日 16時) (レス) id: 3cb4113b8b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 好きです!もう最高!過保護な彼らが可愛くて仕方がないです!更新頑張ってください! (2020年12月13日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
実弥 - 更新ファイト! (2020年12月12日 18時) (レス) id: b8ee803632 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 一気に読みました!とても面白い内容で感動しました。次も楽しみにしてます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 0492b38da7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月27日 8時