【鬼滅の刃】鬼殺隊の姉はそして愛された

在り方 ページ18

「あっ、姉ちゃん！おはよう！今日も可愛いよ！」
「あはは、おはよう、我妻君。毎朝飽きないね」
「姉ちゃんに会うためだけに風紀委員なんて頑張ってるんだから当たり前じゃん！…あとそろそろ善逸って呼ばない？」
「…ごめんね、呼び捨てって苦手なの」

紫外線アレルギーとやらで、前世と同じく晴れていても傘をさしている姉ちゃん。笑ってるけど、俺のお願いはやっぱり困らせるだけみたいで少し悲しい。
でもさ、前世では善逸って呼んでくれてたのにさ、いきなり我妻君だよ？180度呼び方変わっちゃったら寂しいって思うの普通だよね？

「弟君のことは呼び捨てにしてるくせに…」
「それは…弟だし…？」

俺だって、前は弟扱いしてもらってたんだよ。今だって姉ちゃんって呼ぶのは許してくれてるくせに、善逸って呼ぶことはしてくれない。暗に、もう弟じゃないと言われているようだった。

「俺も姉ちゃんの弟になりたい！」
「えぇ…もっといいお姉さんいるよ」
「俺の姉ちゃんはこの世にひとりなの！」
「なんだ、決まった人いるんじゃない」

そうじゃなくて！
完全に勘違いしている姉ちゃんにウガーー！！と天を仰いで叫ぶ。当の本人はきょとんと俺を見つめてるだけだ。…前は姉ちゃんって呼んだら喜んでくれたのに。
…気づいたら姉ちゃんがオロオロしていた。
なんで？と思っていたら俺の頬に暖かいものが流れて、いつの間にか泣いていることに気がつく。

「あ、我妻君？どうしたの、私、なにかしちゃった？」
「う、うぅ〜っ…酷い、酷いよぉ…前は勝手に弟にしたくせにさぁ、もういらないってポイ捨てかよぉ〜っ！」
「な、なんか捨て子みたいな発言だけどどうしたの」
「うるせぇーー！！どうせ今回も俺は捨て子ですよぉぉ！！！」

そう。俺は今世でも捨て子だった。気づけば施設にいたし、気づけばじいちゃんに引き取られてた。
でも、周りはみんな昔のこと覚えてたからさ、寂しくなかったんだよ。姉ちゃんにも会えたら、きっとまた弟として可愛がってくれるって勝手だけど信じてたんだよ。なのにさ？現実はこうも厳しいとかさ、もうなんなの？泣くよ？泣いてるけど。

「……我妻君は皆に愛されてるのに、どうしてそんなにお姉さんが欲しいの？」

前世で俺が泣けばいつでも撫でてくれた手はもう伸びてこない。それが酷く寂しい。
…皆に愛されてる。そうかな。だったら姉ちゃんにも愛されたいよ、俺。

「…姉ちゃんのばか…」
「…？」

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