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幸せからの ページ17

『君は今、幸せか?』

幸せか。
まず聞きたい。幸せってなに?
辛くなきゃ、幸せなの?
悲しくなきゃ、幸せなの?

カツカツ、と音を立てながら廊下を歩く。
日誌を抱える手にあまり感覚はなく、自覚はなかったが表情も無かった。

杏寿郎は虹の呼吸を見れなかったことを未練だと言った。私が死んだことを辛いと嘆いていた。
…なら杏寿郎は、今幸せじゃないのかな。
───ほらやっぱり、前世の記憶なんてあるから、そうなるの。
心の中でそう、自分の声が聞こえた気がした。

「…失礼します。三年蓬組の桜之です。緑川先生はいらっしゃいますか」
「緑川なら先刻英語準備室に向かった、が……桜之、なにかあったのか、どうしてそんな表情をしている」

小芭内が珍しく心配そうに近づいてくる。
どうしてそんな顔をするの。私の表情が、どうしたの。

「伊黒先生?」
「…なにかあったのか、なにか言われたか、そんなゴミクズ俺があの世に送ってやるから言ってみろ」
「へ?」

何故か今まで見たことないほど小芭内が怒ってる。なに、なに、どうしたの。
その時、ハタ、と同じく職員室内に居た天元と目が合った。それと同時に椅子を倒して立ち上がったかと思えば天元までもこちらに詰め寄ってくる。ホント何!?

「オイオイ、どうした桜之。お前派手に真っ青じゃねぇか」
「だから誰かになにかされたのだろう。早く言え、ゴミ掃除をしなくてはならない」
「ちっ、違います!」
「何が違うんだ言ってみろ」
「えっと、えっと…」

悩んだ末に選んだ言葉は最悪なものだった、らしい。最早自分のボキャブラリーを呪いたい。

「気分が悪くて、それで少し顔色悪いんだと思います。だから……」

それを聞いた二人が、顔色を悪くする。私より真っ青なんじゃ?そんなことを考えている間にふわりと身体が浮いた。

「…え?」
「ンでそんなんで学校なんざ来てんだよざけんな!オイ伊黒、さっさとこいつの住所調べろ!」
「言われなくともわかっている黙ってろ宇隨」

気づけば私は天元にお姫様抱っこされ、小芭内は私の個人情報を漁り出す始末。
いつからこんなに過保護になったのこの子達。

「…あの、なにしてるんですか?」
「!!」

唖然としていたのも束の間。鶴の一声ならぬ蘭の声が響いた。ここぞとばかりに私は蘭に手を伸ばす。

「蘭っ…じゃなくて緑川先生!ちょっと体調悪いんです診察してくださいー!!」

よくわからない状況がとにかく怖かった私である。

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とうみん(プロフ) - バレてしまう時を楽しみに待っていた私がいた。これからの展開に胸を躍らせる私がいる。あ、この作品好き。 (2020年12月21日 16時) (レス) id: 3cb4113b8b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 好きです!もう最高!過保護な彼らが可愛くて仕方がないです!更新頑張ってください! (2020年12月13日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
実弥 - 更新ファイト! (2020年12月12日 18時) (レス) id: b8ee803632 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 一気に読みました!とても面白い内容で感動しました。次も楽しみにしてます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 0492b38da7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月27日 8時

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