白い部屋 ページ1
重い沈黙が白い部屋を満たす。
その部屋は本当にあらゆる物が白くて、でもところどころ淡い色のものが散りばめられていて、この部屋の持ち主らしいものとなっていた。
その真ん中のベッドで目を伏せているのも、この部屋の持ち主。
首に白い布がかけられているもその下に膨らみはなく、身体がないのだと見せつけられているようで。
それなのにその少女の髪は生きていた頃と同じようにサラサラとしていて。
その重い沈黙を破ったのは白髪の青年──遥だった。
「…見つかった時にはもう、首と胴は分かれていたそうです。身体は穴だらけ。…誰もその場にいなかったので詳細はわかりませんが、なにかと戦闘後、首を撥ねられ死亡した、という結論に至ったそうです」
遥は首だけになってしまった最愛の姉の横に腰掛け、するりと頬を撫でた。
周りの皆は固まっているものからベッドに縋り付いて泣いているものまで様々で。
「…皆さんのお話、よく聞いてたんですよ」
その声にゆっくりと視線が集まる。が、遥の視線は虹柱に向いたままだ。
「間違えて最終選抜に行っちゃって、鬼殺隊って言うのに入ったーって。…その頃私はずっと眠ってて、知らなかったんですけどね。鬼殺隊に入ってから二年経ったぐらいに私が目覚めたんです。その時に嬉しさのあまりか舞い上がって柱を引き受けてしまった、といつも嘆いていらっしゃいました。」
くすくす、と困った姉を見て笑う遥。けれどその瞳には隠しきれない寂しさが映っており。
「…でも、なったからにはやめるまでお姉ちゃんが守るんだぁって、笑ってました。
…お姉様は、皆さんのこと妹や弟のように接していたそうですね」
「…はい。姉さんは本当に優しくて、俺に姉がいたらこんなだったのかなと、思うぐらい…っ…」
「……いつも、言ってました。お姉ちゃんは、下の子を守るの、と。例え死んだ後でも……守るのよ、って。」
「姉ちゃんの両親…とかは…?」
「お姉様が二歳の頃殺されました。…今頃会ってるんじゃないでしょうか」
お姉様は寂しくないかもしれないですけど、と呆れたように口にする。
「…一人だけスッキリしたような顔して、狡いですよね。…置いていかれた側が、どんな気持ちかなんて、知らないで」
196人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とうみん(プロフ) - バレてしまう時を楽しみに待っていた私がいた。これからの展開に胸を躍らせる私がいる。あ、この作品好き。 (2020年12月21日 16時) (レス) id: 3cb4113b8b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 好きです!もう最高!過保護な彼らが可愛くて仕方がないです!更新頑張ってください! (2020年12月13日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
実弥 - 更新ファイト! (2020年12月12日 18時) (レス) id: b8ee803632 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 一気に読みました!とても面白い内容で感動しました。次も楽しみにしてます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 0492b38da7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月27日 8時