【鬼滅の刃】鬼殺隊の姉は意外と愛される (ページ44)

今日:30 hit、昨日:4 hit、合計:129,861 hit

独白伍ページ44

そう、虹柱こと桜之 Aは前世持ちだ。しかも前世が戦争真っ只中の殺伐ライフ。
加えていえばその前世の前世の記憶も、またその前の記憶もある。端的に言えば今まで生きてきた全ての記憶がある、ということで。
人生イージーモードなのだか、精神ハードモードなのだかよくわからない。
精神年齢だけで言えば軽く百五十歳を超えている。
異国の言葉を借りるなら“強くてニューゲーム”を数回繰り返していることになるのだ。楽しくないが。
そして何故だか一緒に転生を繰り返している子もいる。
義理の弟の遥。
側近の蘭。
二人とも、三回ほど前のニューゲーム時に出会った子だ。その時も世は戦争戦争。曇りのち砲弾日和。
血なまぐさい戦場の中、私達は一個小隊としてのんびりと活動していた。

『いいんですか、こんなのんびりしてて』
『進んで人殺したいなら殺してきていいよ』
『お姉様、そんな言い方では蘭が拗ねてしまいますよ？』
『拗ねた蘭も遥も可愛いから拗ねていいよ』
『『ご遠慮します』』

なんというか、この時は二度目の軍人ライフだったからか、現在と比べると結構荒んでた…気がする。
ただ身内に対する甘さは健在で、そこそこ甘やかしていた。
そして、身内以外には絶対零度だったので軍内では氷の女王と呼ばれ、敵軍には紅の死神と呼ばれていた。全くもって不名誉だ。
その時に使っていた武器が、剣だった。遥は弓矢。蘭は槍。
砲弾飛び交うその戦場でそんな近距離武器使う時代錯誤者なんて私達ぐらいなものだったが、それでも私達は強かった。死ななかった。
多分、その強さが、次への切符となってしまったんだろう。それか、私と出会って一緒に過ごしてしまったことが原因か。
もし後者ならとても申し訳ないのだが。

だからきっと、色変わりの刀が、全く鍛錬してなかった私でも色が変わったのはその時の記憶が起因したのだと思う。他に剣技を身につけた覚えはない。
ありがたいんだか、迷惑なんだか。

刀を受け取った当時、遥が眠りから目覚めていないことの方が気がかりだったのだ。
いっそ、このニチリントウなるもので頭叩けば起きるかなとか思わず考えてしまうほどには起こすための手段は使い切っていて。

五歳の少女のため息とは思えない重いため息が口から漏れた。