望んでない特別 ページ38
蝶屋敷から逃げ出した虹柱はそっと自分の右の手のひらを見る。
そこに、昼間刀を握ってついたはずの怪我はもう既になかった。
虹柱の体は特殊だ。恋柱もある種特殊だが、虹柱は色んな意味で特殊だった。
まず、傷の治りがとてつもなく早かった。上限の鬼に出会った事はないが、多分上限より早い。虹柱は知らなかったが言ってしまえば無惨レベル。
禰豆子に傷を差し出した時、斬ってそれなりの時間が経っていたにも関わらず血が滴っていたのは虹柱がわざと傷口を塞がないようにしてたからに他ならなかった。でなければ刀から手を離した瞬間に治ってしまうから。
どんなに重症の傷を負ったところでたちまち治る。やったことは無いが首を切り落とされても多分死なない自信があった。
そして、光が苦手だ。
当たったからと言って鬼のように消滅もしなければ火傷のようになる訳ではないけれど、光が強ければ強いだけ自身に熱がたまる。
激しい動きをしたところで熱がこもることは無いのに(というか殆ど体温が上がらない)光に当たった時だけそうなるのだから嫌になる。
熱は時間経過で抜けていくが、一定値以上の熱がたまると手足が冷たくなって糸の切れた人形のようにカクリと倒れた。
(ただでさえ番傘さしてて鬼疑い要素が強いのに、傷の治りまで早いとか知られたら……)
鬼、確定。違うのに。
まぁ今回の柱合会議で日光に晒されているから少しは疑いが晴れた気がするけれど、きっと近いうちに陽光を克服する鬼が現れる、と虹柱は思う。そして多分、それは禰豆子だ。
そういう色をしている。
そしてさらに違うのが、虹柱は人や物の“色”が見えた。木にだって、雑草にだって色はある。
それは魂の色。素材に使われた木材や毛皮の残滓。
その色はその者の行いによって変わる。変わると言っても濁ることが多い。
何を基準としているのかは知らないが、多分世間一般で言う悪いことをすると濁って汚い色になっていくのだ。
けれど、鬼の色が汚いかと言われればそんなことは無かった。
確かに気配は異なるが、色は人間と遜色なかったのだ。故に虹柱は鬼が悪者だと言わない。偶に濁った色の者を見つけても、正直人間の方が多いくらいだ。
(…まぁ流石に、十二鬼月ともなると結構濁ってるんだけど…)
きっと無駄な殺生が多いんだろうなぁ、と虹柱は思っている。
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年11月24日 16時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月18日 20時