悪鬼とは ページ29
普段から拗ねることはよくある虹柱だが怒ったのは初めてで、相手が口を挟む隙すらなく言葉を連ねていく。そして尚もそれは止まらない。
「大体、その刀に刻まれてる悪鬼滅殺の文字はなに?飾り!?人を食べず守る禰豆子のどーこーがー悪鬼よ!実弥も!小芭内も杏寿郎も!行冥も天元も!頭固すぎなんじゃないの早死するよ!?家族殺されて尚も鬼と向き合ってるしのぶとか義勇を見習いなさいよ!記憶ない無一郎とか、蜜璃はちょっと論外だけどね、とーもかくっ!」
ビシッと風柱を指差した虹柱は声高々に言い放った。
「さっさと刀と殺気おさめる!輝哉にも怒られてしまえ!」
その言葉を最後にその場はシーンと静まり返った。
ぜーはーと虹柱が肩で呼吸する音だけが聞こえる。
全員が全員ぽかんと虹柱を見つめていると、御息女達の声が響いた。
「「お館様の御成りです」」
そしてスっ、と産屋敷が現れる。
一拍遅れて虹柱以外の柱達が頭を垂れた。
「今日は随分と賑やかだね。珍しくAがいるからかな?」
「違うもん。実弥達がお姉ちゃんのことはいつものことだけど加えて炭治郎と禰豆子のこともいじめるからお説教してただけだもん」
むす、と拗ねた様子で箱を抱き抱えた虹柱が抗議する。その横でうつ伏せで倒れている炭治郎はオロオロしていた。
***
拗ねた虹柱はむすーっとしながらも会議中ずっと木箱を抱いて離さなかった。
そしてまた、炭治郎達をずっと庇っていた。
しかし産屋敷が容認してほしいと言っても、鱗滝左近次からの文を御息女が読み上げても納得しない者は納得しない。
……証明が、必要か。
とりあえずこの場で黙らせとけば公認となるだろう。そう考えた虹柱はスっと立ち上がる。そして炭治郎に向けて小さく「ごめんね」と謝ると木箱を持ってスタスタと屋敷内にあがり込んだ。
そして優しく木箱を置き、その扉を開く。
そこから禰豆子が出てきたのを見て小さく微笑むと、血の流れる自分の右手を差し出した。
「噛みたいなら、噛んでいいよ」
「……!」
炭治郎が息を呑む。禰豆子は虹柱の傷を凝視して目が離せない様子だった。
…無理もない。虹柱は───稀血だ。それも、稀血の中でも更に稀な特殊な血。
鬼ならば目の色を変えて飛びつく代物。
けれど虹柱は確信していた。──禰豆子なら大丈夫、と。
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年11月24日 16時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月18日 20時