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「私にそれが不可能だと思っているのか」
「うーんどうかなぁ。だって貴方のことなぁんにも知らないもの〜」
「…貴様、先程からそのようなことばかり申すが、本当に私のことを知らないわけがあるまい、巫山戯ているのか」
ゾワ、と無惨から殺意が放たれる。
木々は不気味に揺れ、鳥たちが一斉に飛び立った。
けれど虹柱の笑みは崩れない。
「…何を勘違いしてるのか知らないけど、有名なのは貴方の名前であって容姿は殆ど知られてないの。…というか鬼殺隊を貴方が避けてることがその一因でしょう」
「では何故貴様は知っている?何故私だとわかった」
「だって──そっくりだもの、貴方達」
クスクスと笑う虹柱。無惨は思う、気味が悪いと。自分を前にして怯えるどころか笑う女。浮世離れした容姿も相まって人間かと疑う程に。
「…誰と見比べている」
「内緒」
「ッ…貴様…私を侮辱する気か…!」
「えー、それは誤解かなぁ……というかやるの?やらないの?私はどっちでもいいよ。どちらにせよ結果は変わらないもの」
そう言って傘を閉じた虹柱。肩にいる鳩に「少し離れててね」と笑いかける。
(…余裕なのか…?…いや、逆にあの娘からは諦観の節を感じる)
諦めからくる平常心なのか、判断がつかない。虹柱からは全く思考が読めなかった。
「まぁいい。百数える間、だったな?」
「そうそう。重症……うーんそうだなぁ…四肢のどこか欠損か戦闘不能ってとこかな、うん。そうなったら血の注入でもなんでもするといいよ」
「フッ、その余裕、いつ崩れるか見物だな」
そう言って無惨は戦闘態勢に入る。
虹柱は相変わらず片手に傘を持って笑うだけ。
開始の合図はなかった。
サッと無惨の姿が消えたと思えば一瞬で虹柱の背後におり、背中から生えた何かが虹柱目掛け振り下ろされた。
***
「九十九、ひゃーくっ。はい、終わり〜」
ヘラヘラと笑う虹柱には───傷一つなく。
荒れ果てた森と、少し離れた木陰に無残が立っていた。
「…クッ、クククッ、成程、そういうことか。
貴様、最初からそのつもりだったな」
「なんの話かなぁ。木を切り刻んで陽光差すようにしちゃったのは貴方じゃない。私は何もしてないよ」
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年11月24日 16時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月18日 20時