邂逅 ページ18
隠とは反対方向に歩き出した虹柱。…虹柱ってことを隠している私。もし隠の中に私を知ってる人がいたらと思ったら思わず逃げていた。
鬼狩り終わったら何か食べいこうって私が言ったのに、約束破っちゃったなぁ…
「白銀〜お姉ちゃん薄情だって思われたかなぁ…」
「くるっくー」
「どうでもいいって…白銀こそ薄情だよそれ…」
今は肩の上に留まっている白銀に話しかけながら森の中へと進んでいく。進むにつれ影は濃くなり、まだ正午過ぎだというのに辺りはさながら夜だった。
虹柱は足を止める。
明るいところは苦手。
暗いところが好き。
晴れは嫌い。
でも雨も嫌い。
夜が好き。
でも月明かりは好きじゃない。
「暗いお部屋のベッドの上でずっと暮らしてたい……っていうのが私の夢なんだけど、どう思う?」
「──ほぉ、私に気づいていたのか。気づいていながら一人になるとは余程の愚か者か」
「質問したんだけど完全に無視したね」
「下らん質問に私が答えるとでも?」
「さぁ。私貴方のことなぁんにも知らないもの」
虹柱の番傘の背後に居たのは
───鬼の始祖、鬼舞辻 無惨。
その鬼は面白い玩具を見つけたとばかりにクツクツと笑う。
クルリと虹柱が振り向くと笑みを貼り付けた無惨が口を開いた。
「なんとも稀な色だ。髪も、瞳も」
「生まれつきよ。文句は遺伝にどうぞ」
「クククッ、面白い娘だ。私が居ることに勘づいておきながら逃げるどころか話しかけてくるとは、私も予想外だった」
「だから言ったじゃない、私貴方のことなぁんにも知らないの。…何故か付きまとってくる不審者ってことぐらいしか、ね」
「何故か、か。理由は至って単純だ。…鬼にならないか、娘」
「確かに単純だけれども…突飛していることには気づいてる?というか、勧誘される理由って色彩が稀だから?」
「それもあるが…先程の戦い…いや、最早あれは一方的なものだった。そしておまえは呼吸すら使わずに鬼を倒した。それ程の者が鬼になったらどうなるか…どんな美しい鬼になるのか、私は知りたいのだ」
そう語る鬼舞辻無惨を見つめる虹柱の視線は──優しいものだった。うっすら微笑んですら見える、そんな表情。
くるくる、くるくる、番傘がまわる。
そしてピタリと止まった時、虹柱は口を開いた。
「───百数える間に私に重症負わせられたら、考えてみるよ」
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年11月24日 16時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜もっち | 作成日時:2020年11月18日 20時