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海人side
そんなある日のこと。
とあるバラエティ番組にメンバー全員で呼ばれ、その収録をすることになった。
廉とは毎日のように会っているけど、他のメンバーと会うのは約1週間ぶりだ。
「海人、廉とはどう？」
「順調だよ！毎日、可愛くて癒されるんよね」
「そうだよなぁ、癒されるよな。あーあ、早く別れてくんねぇかなぁ…」
「ちょっと紫耀？冗談だよね？」
「…冗談だよ」
「今の間は何？え、本当に冗談でしょ？マジで辞めてね。紫耀と喧嘩したくないから」
廉の元カレである紫耀は、何かと俺にちょっかいをかけてくる。
紫耀と廉はジュニアの頃から付き合っていて、デビューしてから廉が振って別れたらしい。
理由は紫耀も、もちろん俺達も知らないけど。
廉にずっと片想いしていた俺は、こんなチャンスを逃すべく、廉に猛アプローチを仕掛けた。
その結果、今に至る。
「紫耀は振られた側だから廉に未練はなくても、紫耀にはあるかもだよね」
「ジン？え、ないよね？未練ないよね？」
「あるって言ったらどうすんの」
「ねぇ、ダルいって」
本人がトイレに行って居ないからって、好き勝手言うなよという文句は心の中にしまっておいて。
「廉、おそーい…」
「長くない？トイレ」
「何かあったんじゃね？」
トイレに行こうかなと思って立ち上がれば、ちょうど楽屋の扉が開いて廉が戻ってきた。
「廉、やっと来た！」
「なんか話しかけられて手紙貰った」
「は？」
そう言う廉の手には、見覚えのある封筒が。
あー、そっか。
あの女の人も一緒に共演するのか。
「何で受け取ったの？手紙」
「何でって…断るわけにはいかんやん」
「そういうの断ってよ。貸して、俺が預かる」
戸惑う廉に早くするよう促せば、おずおずと俺に手紙を渡した。
「そういや、海人。その手紙くれた女の人から、この前俺宛てに手紙受け取ったんやって？俺、聞いてへんけど…」
「知らない。何の話？受け取ってないよ」
「でも…」
「勘違いじゃない？とにかく、俺は知らない」
この手紙は廉が見てないところで処分しようと思いながら、カバンの中に入れた。
「嫉妬した時の俺とそっくり」
そんな紫耀の言葉は無視して。
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作者名：あんず | 作成日時：2023年8月7日 13時
