veil of darkness[ブラッドハウンド] ページ45
「パーティ、ですか」
「ええ、APEXゲームが開催されてから随分経つみたいじゃない。その記念パーティで、私たちに盛大に贅沢をさせてくれるみたいよ。是非あなたもいらしてね?A」
つま先から頭の先まで色香で包まれたレジェンド、ローバはそう言って私を妖艶に誘った。後ほど送られてきたメールを確認すると、なるほど確かにそのようなことが記載されている。全員にドレスコード有り、さらには私一人では到底手の届きそうにない豪勢なホテルを貸し切って行われるようで既に今から目眩がしてきた。レジェンドである彼らと肩を並べて戦えている現状で十分幸せだというのに。何だか背中がむず痒い。嬉しいような、気後れするようななんとも言えない感覚が背筋を駆け巡る。きっと他の皆も参加するのだろう。ミラージュやオクタンに限っては、もう今の段階で着ていくスーツにあれこれ悩んでいるに違いない。私も参加の返信を本部に送り、当日までに何を準備しようかと思考を巡らせた。
「それならあなた!とびっきり可愛くしなくちゃだめよ?」
と、私の肩を揺するのはワットソンだ。数日後、既にパーティは明日にまで迫っていたが、私は着ていくドレスを準備出来ずにいた。いや、お古のものならいくつか用意はあるのだが、せっかくの豪華なイベントに気合の入らない格好は避けたいものだ。そんな風にうだうだ考えているところを、見事にワットソンに捕まってしまった次第だった。
「任せて!あなたに似合う色は、私わかっているのよ。選びに行きましょう?」
有無を言わせず私の手をぐいと引くワットソンにとことこ付いていく。私としてもどうしたものかと頭を抱えていたので、彼女の提案は実に嬉しい申し出だった。街に出て、いくつもショップを巡る。ああでもない、こうでもないと最早私よりもワットソンの方が文句を付けていたぐらいだったが。コルセットはいるとかいらないとか、リボンの位置は腰とガーターベルトに。あとそれから……と、まあこのように私はしばらくの間、彼女の着せ替え人形と化していた訳で。数時間の後に私の全身は普段の戦闘服からは考えられないヒラヒラとした薄着になっていた。
「わ、ワットソン……」
「ああもう最高よ!本当に素敵!私ったらやるじゃない!あ、私たちね!」
私の手を取ってくるくると踊るように回るワットソンを見て、もう止められないことを悟る。明日のパーティに一抹の不安がよぎるも、彼女を見ていると不思議と大丈夫な気もしてきた。
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オーキッド(プロフ) - 最高に面白くかつ文才あふれる読みやすい小説でした。ブラハ沼に見事に落とされました。ファンとして続きを楽しみにしております。 (2021年8月19日 18時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
名無し70039号(プロフ) - ブラハの小説ってすんごいレアだと思うので素敵な作品に出会えて私感激…胸キュンが止まりません!!!!!更新楽しみにしてます!! (2021年6月18日 10時) (レス) id: 6045cd7502 (このIDを非表示/違反報告)
椿麒麟(プロフ) - 体が痺れるぐらいとても素敵なものを読ませていただきました!更新楽しみにしております! (2021年6月1日 7時) (レス) id: 5450775e17 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - ブラハが好きで楽しくきゅんきゅんしながら拝読させていただきました。とても幸せです(*'-'*)更新楽しみにしております! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 27e019c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
たろう - 3ヶ月程前に見つけまして密かに読ませて頂いておりました。ブラハ大好きなので見つけた時は嬉しくて…読んでみたら私の中のブラハのイメージそのもの!ドキドキしながら何度も読ませて貰っています!お忙しいと思いますが続き楽しみにしています(*´`) (2021年5月23日 20時) (レス) id: b492fc9660 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無し者 | 作成日時:2021年1月5日 22時