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It’s so obvious 2[ブラッドハウンド] ページ37

「A」
「!!」

咄嗟に銃弾を放つ。が、それは手遅れだったようで。私は足払いを受けてその場に倒れ込んだ。どかりと腹の上に乗る体重を感じて、もう終わりなのだなと悟る。

「はっ……思っていたよりも手間取ってしまった。また成長したなA」
「……私をずっと追っていたんですか」
「あなたを見失う筈がないだろう」

私の上に跨るブラッドハウンドは何処か嬉しそうだ。私は今この人にとって食われるのを待つ小動物に過ぎない。顔を上げるとブラッドハウンドもやけに傷だらけだということに気付いた。体のあちこちからは血が滲み、私よりもずっと痛々しく見える。それに息も荒い、ハンティングビーストの副作用のようなものなのか、この人は苦しそうだ。

「早く私を撃ってください。あなたも無事じゃ済まなくなる……」
「目の前の敵に情けを送るとは。あなたも武器があるだろう、まだ私を狙えるのに早々に諦めるのか」
「やめてください……私は負けます、こんな状態であなたを撃ったって……」
「ああ……そう、だな。私もおかしな事を言っている自覚はあるが……どうにも、体が……」

この人はそのまま、ばたりと倒れた。え、と言う間に私に覆い被さる。そして動かなくなった。

「ブラッドハウンド!」

思い返せばこの人は今敵なのだ。放っておくに越したことはない。けれども私は、どうしても今のブラッドハウンドを置いていこうとは思えなかった。この人の下から抜け出して、体を引っ張る。サプライボックスの物陰に連れて行き、残っていた僅かな注射器を弛緩した左手首に刺した。咳き込む声がガスマスクの下から聞こえて息をしていることにほっとする。起き上がったブラッドハウンドはマスクを外して口元の血を拭うと、傍にいた私をじっと見つめた。

「A、私たちは敵同士だが……それは」
「わかってますよ、けれどあんな風に倒れられたら……」
「そうか、あなたにそんな顔をさせてしまうとはな。私は余程酷い状態だったらしい」

It’s so obvious 3[ブラッドハウンド]→←It’s so obvious[ブラッドハウンド]



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オーキッド(プロフ) - 最高に面白くかつ文才あふれる読みやすい小説でした。ブラハ沼に見事に落とされました。ファンとして続きを楽しみにしております。 (2021年8月19日 18時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
名無し70039号(プロフ) - ブラハの小説ってすんごいレアだと思うので素敵な作品に出会えて私感激…胸キュンが止まりません!!!!!更新楽しみにしてます!! (2021年6月18日 10時) (レス) id: 6045cd7502 (このIDを非表示/違反報告)
椿麒麟(プロフ) - 体が痺れるぐらいとても素敵なものを読ませていただきました!更新楽しみにしております! (2021年6月1日 7時) (レス) id: 5450775e17 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - ブラハが好きで楽しくきゅんきゅんしながら拝読させていただきました。とても幸せです(*'-'*)更新楽しみにしております! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 27e019c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
たろう - 3ヶ月程前に見つけまして密かに読ませて頂いておりました。ブラハ大好きなので見つけた時は嬉しくて…読んでみたら私の中のブラハのイメージそのもの!ドキドキしながら何度も読ませて貰っています!お忙しいと思いますが続き楽しみにしています(*´`) (2021年5月23日 20時) (レス) id: b492fc9660 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無し者 | 作成日時:2021年1月5日 22時

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