hidden jealousy 2[ブラッドハウンド] ページ18
「首元はもっと隠した方がいいだろう。それではスナイパーからの格好の餌食だ。ああそれと、差し支えなければゴーグルも。目線で狙いを悟られやすい」
どうやらワットソンの読みは当たっていたようだ。
「あの、ブラッドハウンド……」
私を包む布地は二重にも三重にも取り付けられ、動きにくいことこの上ない。胸部から腹部へと巻かれる採寸のメーターに目眩がしそうだ。ブラッドハウンドの指示に従ってメモリを合わせるデザイナーも半ば諦めているらしく、眉間に皺を寄せたままテキパキと仕事をしている。私のボディラインというラインは見事にこの人の意見によって覆い隠されてしまっていた。これで戦えるのは、ブラッドハウンド張本人だけだろう。
「武器が……少し持ちにくいかと」
「ふむ……しかしこれ以上、布を剥ぐのは些か心許ない」
是非とも剥いでもらって構わないのだが。私は自分が普段着慣れているいつもの戦闘服が恋しくなりつつも、ブラッドハウンドの様子を窺った。
「走るのが遅くなりそうです」
「……そうか」
畳み掛けるように私が不満を伝えると、ようやく理解を示したのかブラッドハウンドはもう何も言わなくなった。やれやれといった様子でデザイナーは私の腰回りを採寸し直す。腕を組んでそれを見ていたブラッドハウンドはすぐ横の壁にもたれ掛かると、諦めきれないと言った風にそわそわと落ち着きがない。
「気に掛けていただけて嬉しいです、ありがとうございます」
「……いや」
私は……とこの人は口籠もった。言おうか言うまいか悩んでいるらしい。しばらくの沈黙の後にブラッドハウンドは口を開いた。
「あまり……素肌を晒しては、あなたの体を気にする者が現れるだろう。それはあなたにとっても不本意だろうから……」
少し図々しかったか、すまないと小声で謝られる。どうしてブラッドハウンドが私の素肌になんて考えを寄せるのか、私は都合の良い方面に思考を持っていきそうになり慌てて首を横に振った。
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オーキッド(プロフ) - 最高に面白くかつ文才あふれる読みやすい小説でした。ブラハ沼に見事に落とされました。ファンとして続きを楽しみにしております。 (2021年8月19日 18時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
名無し70039号(プロフ) - ブラハの小説ってすんごいレアだと思うので素敵な作品に出会えて私感激…胸キュンが止まりません!!!!!更新楽しみにしてます!! (2021年6月18日 10時) (レス) id: 6045cd7502 (このIDを非表示/違反報告)
椿麒麟(プロフ) - 体が痺れるぐらいとても素敵なものを読ませていただきました!更新楽しみにしております! (2021年6月1日 7時) (レス) id: 5450775e17 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - ブラハが好きで楽しくきゅんきゅんしながら拝読させていただきました。とても幸せです(*'-'*)更新楽しみにしております! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 27e019c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
たろう - 3ヶ月程前に見つけまして密かに読ませて頂いておりました。ブラハ大好きなので見つけた時は嬉しくて…読んでみたら私の中のブラハのイメージそのもの!ドキドキしながら何度も読ませて貰っています!お忙しいと思いますが続き楽しみにしています(*´`) (2021年5月23日 20時) (レス) id: b492fc9660 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無し者 | 作成日時:2021年1月5日 22時