No.21 ページ25
･A
テヒョンさんに抱きあげられたまま、僕はキョロキョロと周りを見回していた。
ジュブ島は、みんなが言っていたような犯罪者の島でも感染者の島でもなく、ただ普通の島。
いや……とても静かで穏やかな島だ。
｢あ、｣
人だ。
彼らの他に、人がいる。
NM｢スヨンさん！｣
スヨン……さん？
SY｢……よく、無事に帰ってきたね。おかえり。｣
彼らの、仲間なのかな。
家の灯りが頼りの薄暗い夜、スヨンさんと呼ばれたおじいさんが僕を視界に入れたのがわかった。
ばっちりと目があった気がする。
そして、ゆっくりと僕の元に歩み寄ってきた。
SY｢初めまして、A王子。｣
恭しく胸に手を当て、僕に手を差し伸べた。
この人の手を握っても……死なないだろうか。
まだ怖さはある。
七人の彼らが特別なのかもしれない。
そもそも七人全員にちゃんと触れたことがないから、いつ誰が死んでもおかしくない。
TH｢A？｣
不思議そうな顔をして、僕の顔をのぞき込むテヒョンさん。
僕、分からないんだ。
どうしてあなた達に魔法が効かないのか。
どうしてあなた達はそんな僕をさらったのか。
SY｢大丈夫です、A王子。お手を取りください。｣
｢……？｣
SY｢さぁ。｣
促すように、手を差し出される。
いいのかな。
ほんとに、いいの？
恐る恐る手を近づける。
少し手を出すと、すぐに手を取られた。
｢……！｣
SY｢来てくれてありがとう。｣
｢…あ、｣
ちゅ、と音を立てて手の甲にキスされた。
SY｢家に入ろうか。｣
何故か少し恥ずかしそうな表情が見えた。
暗くてちょっとしか見えなかったけど。
TH｢……いこっか。｣
テヒョンさんは僕を抱きかかえなおして、あかりの灯る家屋の中に入った。
暖かな照明。
天井に吊るされたランプと、所々に置かれた光が部屋の中を照らしていた。
暖色で包まれて、なんだか落ち着く。
王宮のあの部屋は冷たい色をしていたから、ここはなんだか目に優しい色だなと思った。
｢……？｣
ソファに座ったというのに、テヒョンさんは僕を抱えたまま動かない。
おかげで僕はソファの後ろにある壁しか見えないんだけどな。
JN｢……テヒョンア、降ろしてやって。｣
TH｢……あ。｣
そう言って僕を放したテヒョンさん。
TH｢ごめん。｣
フルフルと首を振ると、テヒョンさんは口をキュッと結んで微笑んだ。
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名無し77872号(プロフ) - スミスキーさん» ありがとうございます！しっかり伏線回収したいと思います！ (2021年8月19日 21時) (
レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - お豆腐さん» ありがとうございます！続編も出ましたので是非チェックお願いしますー！！！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
スミスキー(プロフ) - この小説面白くて凄く大好きです！！更新頑張ってください！！ (2021年8月14日 12時) (レス) id: 78ab9a25ad (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐(プロフ) - この小説すごく面白くて大好きです！！更新されるたびにニヤニヤしながら読んでしまってます笑 (2021年8月14日 8時) (レス) id: 236bbfcab0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - ヌナさん» ありがとうございます！コメントめちゃくちゃ嬉しいです笑 これからもよろしくお願いします！ (2021年8月2日 19時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぞのなか x他1人 | 作成日時：2021年7月14日 0時
