No.17 ページ21
･A
不思議な夢を見た。
僕の頬を、誰かが優しく撫でていた。
ミランかな。
それとも、父さん？
でも、父さんが僕に優しく触れたことなんて、記憶にないな。
ミランは……違う。
僕の頬は撫でたりしなかった。
いつも勢いよく抱きついて、手を握っていた。
僕はそれに応えるように、頬を撫でたりしたけど……不思議だな。
僕が触れていい人間なんて、限られてるはずなのに、どこかにいるんじゃないかって、時々思うんだ。
･
JN｢……──────様。王子様。A王子ーー！｣
誰かの声がして、ハッと目が覚めた。
TH｢……。｣
JM｢おはよう、王子様。｣
JN｢起きたかな。｣
この人たちは、たしか……
僕をさらうとか、なんとか言ってた、泥棒？
山賊？
とにかく、過激な人たち。
あと、それと。
僕の体を触っても、なんともない人たち。
不思議だ。
僕の魔法なんて嘘みたいに効かない。
JN｢起き上がれる？｣
｢……はい。｣
優しい声色に、つい反応して返事してしまう。
ゆっくりと起き上がると僕の背中を支えてくれる人がいた。
JM｢……ふふ。｣
｢……ありがとうございます、｣
目を細めて笑う姿に、なぜだかほっとする。
名前も出身も知らない人たちなのに、どうしても抱く安心感。
これは一体なんなんだろう。
JN｢さて。ナムジュナ、説明できる？｣
NM｢はい。｣
かなり体格のいい男がナムジュナと呼ばれて僕を見つめた。
ここで僕が暴れて船から出ても、沖からどれだけ離れているか検討もつかない。
最悪溺れ死ぬし、そもそもここにいる7人の、僕より一回り大きな男の人たちをなぎ倒さる自信が無い。
そして最も。
僕にはあの薄暗い王宮の一部屋に戻りたい意思なんてこれっぽっちもなかった。
むしろ、死ぬ前にまた船に乗れてラッキーだったなくらいしか思ってない。
つまり……今の僕は無敵だ。
NM｢単刀直入に言う。俺たちは…ジュブ島の人間だ。｣
ジュブ島……。
へぇ。
そんなことが、あるのか……。
あのジュブ島か。
NM｢訳あってあなたを……王宮の一部屋にいたあなたを連れ去った。……今はそれしか。｣
ナムジュンさんはそう言い終わってからさっきの男に目配せした。
たったそれだけの説明で、納得なんて出来るわけない。
だけど、僕は今ここで殺されるわけじゃないんだなと少しホッとした。
どうせなら長く、解放されていたいから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し77872号(プロフ) - スミスキーさん» ありがとうございます！しっかり伏線回収したいと思います！ (2021年8月19日 21時) (
レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - お豆腐さん» ありがとうございます！続編も出ましたので是非チェックお願いしますー！！！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
スミスキー(プロフ) - この小説面白くて凄く大好きです！！更新頑張ってください！！ (2021年8月14日 12時) (レス) id: 78ab9a25ad (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐(プロフ) - この小説すごく面白くて大好きです！！更新されるたびにニヤニヤしながら読んでしまってます笑 (2021年8月14日 8時) (レス) id: 236bbfcab0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - ヌナさん» ありがとうございます！コメントめちゃくちゃ嬉しいです笑 これからもよろしくお願いします！ (2021年8月2日 19時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みぞのなか x他1人 | 作成日時：2021年7月14日 0時
