No.5* ページ8
･noside
海に囲まれた完全なる孤島。
未踏の地、カジ王国。
世界の人々はこの国をそう呼び、そして恐れた。
｢……。｣
南方に楕円形に広がるこの島の中心に、王宮が存在した。
背の高い塔が建ち並び、城下町は人々で栄え、何不自由ない暮らしが、そこにはあった。
｢父様、僕はいつまでここで寝ていればいいのですか。｣
カジ王国第1王子、A。
SA｢0時までだよ。｣
カジ王国国王、シュア。
RN｢大丈夫よ。私たちがついているから。｣
カジ王国女王、リン。
ベッドに横たわるAの手を優しく握る。
Aはベッドの上で目を伏せた。
RN｢寝てはダメよ、あなたの能力が分かるまで起きていて。｣
｢……うーん、でも、もういつもなら寝てる時間だから、ねむいです……｣
SA｢起き上がりなさい。｣
｢はい…。｣
起き上がり、部屋を見渡す。
ベットの周りを囲むのは、シュアとリンの側近やAの世話をしていた使用人たち。
｢…皆さん、離れた方がいいんじゃないですか……？｣
RN｢ふふ、心配しないで、父様がずっと手を握っているから。｣
リンはAの手を離し、代わりにシュアの手をAの手に重ねた。
RN｢王家の血を継ぐ父様にはあなたの魔法は効かないわ。安心しなさい。｣
｢……はい。｣
Aはリンの手を名残惜しそうに見つめながらもシュアの手を握った。
この能力開放式で能力を制御出来ずに怪我を負った使用人がいたという前例がある。
王家の血を継ぐ者には一切の魔法は効かない。
SA｢あと数分だ。０時になったら全身に神経を通らせて、自分がどんな能力を持っているのか、自身に問いかけなさい。｣
｢はい……。｣
刻一刻と時は過ぎ、Aはシュアの手を握りながら０時を待つ。
父のように国の農業を救えるような、なにか国に貢献できるような能力であれ。
温かな国民を幸せにできるような……なにか、使える魔法を。
Aは幼いながらそればかり願う。
｢……母様、｣
RN｢どうしたの。｣
｢僕、立派な王様になれますか……？｣
RN｢えぇ。あなたなら、きっと皆を幸せに出来る王様になれるはずよ。心優しくて、賢いのだから。｣
リンはAの頬を優しく撫でる。
彼女の言葉に微笑むAと、周りの使用人たちはあと数秒に迫る０時に期待を寄せていた。
SA｢……離れなさい。｣
シュアの言葉にリンは手を離し、席を立った。
使用人たちも1歩下がり、Aを見つめていた。
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名無し77872号(プロフ) - スミスキーさん» ありがとうございます！しっかり伏線回収したいと思います！ (2021年8月19日 21時) (
レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - お豆腐さん» ありがとうございます！続編も出ましたので是非チェックお願いしますー！！！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
スミスキー(プロフ) - この小説面白くて凄く大好きです！！更新頑張ってください！！ (2021年8月14日 12時) (レス) id: 78ab9a25ad (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐(プロフ) - この小説すごく面白くて大好きです！！更新されるたびにニヤニヤしながら読んでしまってます笑 (2021年8月14日 8時) (レス) id: 236bbfcab0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - ヌナさん» ありがとうございます！コメントめちゃくちゃ嬉しいです笑 これからもよろしくお願いします！ (2021年8月2日 19時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぞのなか x他1人 | 作成日時：2021年7月14日 0時
