No.28 ページ32
･A
すん、と香るのは……香水の匂いだろうか。
僕のさっきまでいた部屋とは別の匂い。
ってことはここは、僕の部屋じゃなくて……
JK｢なんで逃げたの。｣
ジョングクさんの部屋。
｢逃げてないです。｣
JK｢嘘。窓から脱走しようとした。｣
｢窓の縁に座ってて落ちただけです。｣
JK｢俺に見つかって、まずい、って顔してた。｣
……それは言いがかりだ。
｢逃げないです。僕は、絶対逃げないです。｣
逃げたってどうすることも出来ないし、逃げてる途中に誰かにぶつかったりして殺しちゃったらって考えるとここから動けない。
JK｢なんでそう言い切るの。｣
｢ジョングクさんだって、なんでさっきカエルだなんて嘘ついたんですか。｣
JK｢……。｣
｢僕が逃げたなら言いつければいいじゃないですか。｣
生意気に口答えする僕。
なんでだろう。
この人たちはきっと僕を酷くしないって、思ってしまうんだ。
JK｢王子様ってさ。｣
｢……？｣
JK｢もしかしてお城から抜け出したいとか、自由の身になりたいとか……思ってた？｣
なんだ、いきなり。
話をずらしたら、またずらされた。
JK｢物語の王子様もお姫様も、みんなそうだから。｣
……まるで、僕が連れ去られて嬉しがってるみたいな言い方。
いや、間違いじゃないけど。
でも百パーセント正解じゃない。
僕に触れられても死なない人がこの世にいるって、少しの安心感。
知らない世界がまだある事の、微かな希望。
それだけ。
それだけなんだ。
｢僕は、ずっと独りでもいいと思ってあの部屋にいました。｣
老いて死ぬのが理想だったんだを
｢僕の魔法は、｣
みんなを不幸にするばかりだったから。
だれも幸せになんかできない。
だけど。
｢……。｣
JK｢……王子、さま？｣
あれ、
僕、
｢……ぼく、｣
ここに、
｢ぼく、ここに、｣
JK｢どうしたの、おちつい｣
｢ここに、いたい……っ、｣
ここにいても、だれも悲しくない、？
JK｢……いて、いいから。｣
いつのまにかボロボロ流れていた涙を拭われる。
あぁ、子どもだ。
子どもみたいに泣いて、情けない。
JK｢一緒に、いよう。｣
遠慮がちな腕が僕の背中に回った。
ぎゅうっと、だんだん力がこもってきて、苦しいくらい抱きしめられた。
｢……、｣
香水の匂い、する。
JK｢……。｣
いい、匂い……
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名無し77872号(プロフ) - スミスキーさん» ありがとうございます！しっかり伏線回収したいと思います！ (2021年8月19日 21時) (
レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - お豆腐さん» ありがとうございます！続編も出ましたので是非チェックお願いしますー！！！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
スミスキー(プロフ) - この小説面白くて凄く大好きです！！更新頑張ってください！！ (2021年8月14日 12時) (レス) id: 78ab9a25ad (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐(プロフ) - この小説すごく面白くて大好きです！！更新されるたびにニヤニヤしながら読んでしまってます笑 (2021年8月14日 8時) (レス) id: 236bbfcab0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - ヌナさん» ありがとうございます！コメントめちゃくちゃ嬉しいです笑 これからもよろしくお願いします！ (2021年8月2日 19時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぞのなか x他1人 | 作成日時：2021年7月14日 0時
