臭いものに蓋 ページ23
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遥か昔の話
少女は大きな御屋敷の子供でした
一番下の末っ子
その家では、出来損ないの少女
姉や兄、更には親戚からも忌み嫌われた少女
いつも独りぼっちで、いつも仲間外れにされていました
そんな家系は昔からある神を祀っていました
少女は自身の兄弟や姉妹に、捧げ物を持って来る仕事を押し付けられてしまいました
三十年に一度のその神への捧げ物をする為に、恐る恐る少女は外へ出ました
捧げ物の果物を買い、少女は少し寄り道をしました
何せあまりにも…「暫く外に出られないから」と少女は自分の友達の家に行きました
友達は、快く少女を受け入れてくれた唯一無二の親友でした
その日も…急に訪ねた少女に文句も言わず、むしろ遊びに誘ってくれました
しかし…気付くと少女と友達は、知らない山奥に来ていました
目の前には巨大な穴が一つと、辺りには異様な臭いがしていました
「どうして此処に、来たんだろう」
何故此処に来たのか、どうして此処にいるのか
少女にも友達にも分かりませんでした
分かる事は穴の目の前に立っていた少女が、穴に突き落とされた事
背中を押された少女は…咄嗟に穴の淵を小さな手で掴み、必死に落ちないようにしました
背中を押されている途中で少女は、自身を嘲笑う家族や親戚を見たのです
少女は彼らを信じれなくなりました
「あの子と私を邪魔するお前達は、いらない」
少女がそう思った瞬間
穴の奥底から何かが蠢き、這いずり、少女へ手を伸ばしているのが見えてしまいました
少女が恐怖で頭が真っ白になる中、頭上から少女を嘲笑っていた家族や親戚が自分達から落ちて行きました
何の抵抗もなく、静かに…静かに
そして少女はその人間達の末路を見ました
穴の奥底にいる蠢くソレに体を貪られる姿を
ソレは皮膚を突き破り、血管を無理矢理通り、体全体に自身を巡らせ、脳をも乗っ取り、腹に居座る
ソレに入られた人間は腹が膨れ上がり、まるで孕んでいるかのようで…少女は恐怖で目眩がした
途中で意識を取り戻した者もいたが、ソレに襲われ…激痛に耐えられず絶命したり
意識を取り戻す事もなく、動けないままで生理的に口から出る掠れ声をあげながら死んだ事も理解出来ず死んでいった
でも皆…最後には苦しさからか、口から舌のような何かを出して光の宿らない目をしながら…少女に手を伸ばした
少女は必死になりながらも理解してしまった
よく見ると…穴の奥底は全てソレが宿っている体で溢れているのを
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作者名：水泳進化人 | 作成日時：2021年8月17日 14時
