ぼんち揚げ食うな。寝ろ。Second【ワールドトリガー】 (ページ35)

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高校三年・春　頑張って生きていてくれてありがとうページ35

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『多分ね』

攻撃する時に…痛そうだな、辛そうだな、私だったらきっと耐えられない、と思ってしまう

どういう副作用(サイドエフェクト)かは知らんが、合っていると思う

『だから私としては人を攻撃しないことが出来る鳩原さんが羨ましいんだ』

「あたし、が…？」

『だって誰も悲しまない未来を作れるじゃん』

いくら違う世界の相手とはいえ、人であることを変わりはない

だからきっとボーダーを恨んでる人もいると思う

攻撃出来ないことは、ある意味相手を傷付けないで済むということ

命を殺めずに未来を作れる方法

『鳩原さんは弟さんを攫われたんだよね？』

「はい」

『ここまで言っといて変だけどさ、物事を恨むことはしない方が良いよ』

鳩原さんの顔が微かに変わる

『確かに弟さんが攫われて辛いと思うよ。でも本来の鳩原さんを歪めてしまう程の恨みは、後で鳩原さんを苦しめる』

「……」

あと一押しくらいかな

『…私さ、小学生の時から親がいないの』

「え」

『皮肉なことに死因はほぼ事故。両親の乗った飛行機の故障による事故。恨める相手すらいなかった』

目を閉じてあの時を思い出す

『両親はその場で即死だったし小学生だった私は親戚に引き取られて…あとは学校でイジメられたり、親戚がやっていた武道に没頭してた。その内私は私(・)が恨めしくなって、自分自身に無理を強いた』

「……」

『いっそ無理をして死ねればって思って、この三門市に引っ越して来たの』

私が言葉を言い終わると、辺りは静寂に包まれた

うーん…こういう雰囲気は望ましくないなぁ…

「…どうして、ボーダー隊員になったんですか。もっと…他に道があったのに」

鳩原さんは俯いていて顔が見えない

『三門市の人に助けられたから。だから私は死んでも、鳩原さんみたいな人を減らす為にここに居る』

迅に後で怒られるだろうな

「…あたしは、貴方に何もしてないのに？」

『生きていてくれてるじゃん』

「……！」

『生きるのは辛いのに、今を頑張って生きていてくれてる。世の中全部幸せでいっぱいな訳じゃない。頭の中が色んな感情でいっぱいでも、鳩原さんは生きてくれているよね？』

人が撃てないことがどうした

誰もが必ずボーダーでぶつかる壁じゃん

『だから私は鳩原さんの力になりたい』

座っていたところから立ち上がって…一緒に私と辛くない方法探そうよ、と鳩原さんに手を差し伸べた