. ページ7
.
「…それは出来ないよ、A」
グランドライン後半の海、新世界。
そこを白ひげ海賊団の一隊長として、今までずっと航海して来た。
その海の過酷さは重々分かっているつもりだ。
分かっているから、こんなにも辛い。
そんな危険すぎる道にAを連れ添う訳には行かないし、そうするつもりもなかった。
『…そう』
絡めた腕をそっと解き、『あなたならそう言うと思っていたわ』と寂しげに笑って呟いた。
『じゃあ、今夜でお別れなのね。…最後まで楽しんでいって』
「あぁ、ありがとう」
Aの腕を引き寄せ、遠慮がちに抱き締める。
Aの腕が首に伸びたのを確認して、そのまま手で顎を上げさせてキスを落とした。
陸に住む人間と海に住む人間は、決して交わることはない。
分かっていたのに、止められなかった。
二年前のあの時から、既に分かっていた筈だったっていうのに。
華奢なその肩をそっと抱いて、歩き出す。
おまえとおれの、最後の夜。
明日出航が済んだらもう、二度と会うことはないだろう。
Aはこんなおれのことを、これから先も覚えていてくれるのだろうか、なんて。
Aと添い遂げる事よりも己の夢を選んだおれが望む資格は無いが。
「A…」
明日の朝、起きてもおまえはきっと隣にいないのだろう。
そんなこと分かっている。分かっていた。
"…お願い。わたしも、海に連れて行って"
"わたし、あなたのそばに居たいの"
"……あなたならそう言うと思っていたわ"
…あぁ。
おれも確かに、おまえが好きだった。
fin
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マリコ - ワンピース短編集はロビンの妹設定とルフィに恋をしてそれからチョッパーより幼い小柄ヒロインをキュアミルキーに変身してそして海軍がルフィ達に襲われてるの気づいてヒロインの目の前でペンダントとスターカラーペンが現れて変身して戦うお話を見せてください。 (2020年6月28日 23時) (
レス) id: 114f25bed8 (このIDを非表示/違反報告)
dolce?（sora）(プロフ) - そこでリクエストなんですがマルコ×主ちゃんでどうしても妹としか見られてないと思ってる主ちゃんと主ちゃんは妹だって自分に言い聞かせてるマルコの切ないすれ違いって書いていただけないでしょうか？ (2019年3月10日 12時) (レス) id: 4915a7e803 (このIDを非表示/違反報告)
dolce?（sora）(プロフ) - すっごく好きなタイプの話ばかりで面白かったです!!8ページのマルコの話が特に好きです！ (2019年3月10日 12時) (レス) id: 4915a7e803 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - サボの続編？が読みたいです。あのあとどうなったのかすごく気になります (2019年3月9日 13時) (レス) id: f14673c195 (このIDを非表示/違反報告)
njsxa3fzdc(プロフ) - コメント失礼します。サボ落ちの4兄弟で革命軍で再開してハッピーエンドをリクエストします！お願いします！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 55a936a5f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜愛 | 作成日時：2019年2月20日 0時
