A級ソロ隊員は人を信じない【ワールドトリガー】 (ページ21)

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17こ目の嘘ページ21

南西方面の市街地まであとちょっと、というところで人影を見つけた。すぐ近くにヤバ気な雰囲気の混じった視線を感じたのだ。

その視線の元を追えば人型ネイバーが建物の屋上に立っていた。ツノが生えていてその色は黒色。黒色のツノは黒トリガー持ちらしい。他には白く仄かに光る卵のような球体。周りには白い鳥が飛んでいる。
思わず口角が上がる。

『楽しそーじゃん』

屋根から飛び移って、人型のいる所へ向かう。
狙うは人型の足。さすがに一発で首を取れるとは思っていない。黒トリガーだし。移動手段を奪っておけば、大分楽になる。立ち回りも難しくなるだろう。
後ろから低い姿勢で襲い掛かる。手にある武器は使い慣れている弧月。敵の視線は地上のC級隊員に向けられている。

いける。
そう思って弧月を振るう。

ガキンッ

刃が通らない。諦めてすぐに後ろへ飛んで下がる。
一瞬見えたのは白いトカゲ。それが人型を守るようにして出てきた。金属質な音がしたのはそのままトカゲに当たったからだろう。

「･･･！まだいたのか。
生憎私は忙しい、構ってられないんだ手早くいこう。」

俺の攻撃に一瞬目を見開き、やれやれとでも言うかのようにため息をつく人型。
忙しいというのはC級隊員の捕獲だろう。手早くという言葉通り、白い鳥が一斉にこちらへ飛んできた。

当たったら不味いよなあ。
絶対ただの鳥ではない。このタイミングでただの鳥を放つ訳がないし。

数が多いのでスコーピオンを出して弾く。
すると当たったところがバラバラと砕け、キューブ状になった。

『まぁ、一筋縄じゃいかないよねぇ』

そう言って笑う。久々に全力で行こうかなっと。
周りの白い、いろんな動物を避けながら間を縫ってバイパーを撃つ。

視線が見えるのでどこを狙って撃ってくるのかは大体予想がついた。無機物でも、ネイバーの視線は見える。
感情がないからか透明なような真っ白のような、何にも感じない色。
撃ち合いを続けていれば、不意に数羽の鳥が地上に向かっていった。その先には見覚えのあるC級隊員と三雲が目に入った。その他にも見知ったC級隊員達の元へ。

止められる、でもそんな事俺がする義理はない。
そう判断して、攻撃を続ける。
思い通りに当たったのか、人型がニヤリと笑った。

「助けに行かなくていいのか？」

そんな質問を人型ネイバーがしてくるものだから笑いが溢れる。