A級ソロ隊員は人を信じない【ワールドトリガー】 (ページ11)

今日:5 hit、昨日:13 hit、合計:30,426 hit

8つ目の嘘ページ11

ランク戦のフロアは人が多く、いつも以上にざわざわとしている。
なんか騒がしいし、好奇や興味の視線が多い。
不思議に思っていると、遊真と駿のランク戦の様子が画面に映し出されていた。

遊真負けてんじゃん。
何してんだよ。つーか、なんで戦ってんだ、

「お、A。いいところに来たな。」

『米屋、それに三雲も。なんであの2人が戦ってるの？』

「緑川がメガネボーイに突っ掛かかったんだよ。それで白チビはボコボコにしたいらしいーや」

『なるほどね、駿はこれからもっと強くなるだろうな』

大方、迅さんの目にかけられている新人達が気に食わないって感じかな。
10本勝負が終了した。
結果はやっぱり遊真の勝ち、

「遊真、メガネくん。どもども、」

迅さんが、いつの間にか近くに来ていた。
未来を見通すその目は、俺の偽りさえも見通して指摘してくる。

「ちょっと来てくれ、城戸さんたちが呼んでる」

あ、そういや駿がいたな。
騒がしくなりそうだ。

「あっ！迅さん！！それにA先輩も！！」

駿がやって来て一気に騒がしくなる。
駿が三雲に謝っていた。
突っかかったことを謝っているのだろう。

「うんうん、そうだ。A、大丈夫？」

『何のこと？迅さん。』

「いや、そろそろ4年経つなぁって。
ボーダーはいい方向に向かってるんだよ。ちょうどいい機会だと思わない？」

何が言いたいんだろうか。
言うならはっきり言えよ。
分かってるんだから、そんな事。

始めっから。

『だからさぁ、何のことか分かんないんだけど？』

分かっていても、自分以外の人に指摘されたくなくてすっとぼける。

「さっさとやめなよ、それ。
Aは、Aだろ。
Aが求めてる人はもう居ないんだから。」

違う。
俺は求めてない。
だってあいつはもう居ないんだから。
必要なのはあいつだろ。

俺はあいつの代わりなんだよ。

もう4年だろ、今更すぎるんだよ。
なんで今更そんな事を、

『そんな事ぐらいわかってるよ…
僕は間違ってた訳？
なあ、そんな視線向けんなよ』

少し俯きながら答える。
迅さんからは哀れみのような、悲しみのような何とも言えない視線が向けられていた。
迅さんからは何も返事が返ってこない。

「ん、A帰んのか？白チビも居なくなるし、ランク戦付き合ってくれよー」

『悪い、今そんな気分じゃない。』

米屋に声を掛けられたが、素気なく返してその場を立ち去った。