さくら（緑さんと赤さん） ページ48
桜が咲き誇った頃は過ぎ
風が吹くたびに花びらを散らす
淡くピンクに色付いた景色の中で
一人佇む雅紀は
舞い踊る花びらたちを
慈しむような眼差しで見つめ
どこか嬉しそうに眺めていた
桜の舞い落ちる様は
ともすれば
寂しさを覚える人も少なくない
なのに
雅紀からはそんな感情は
微塵も感じられなかった
「雅紀」
不意の呼びかけに驚いたのか？
俺という存在がいたのも
忘れていたのか？
ビクっと肩を小さく上げ
漏らした一言
「なんだ 翔ちゃんか…」
“なんだ”とはなんだ
とは思いながらも
桜吹雪の中の雅紀に
我を忘れて見惚れていた自覚もあり
おそらく俺は
複雑な表情を浮かべていたはずだ
「なぁ雅紀
なんだか寂しいな…」
そう告げた俺に
雅紀はきょとんとした顔で
そうかなぁ？と首を傾げた
「俺は逆に ちょっと
ワクワクしちゃうけどなぁ…」
花びらを散らす桜を見上げて
キラキラと瞳を輝かす雅紀
「俺はやっぱり寂しいよ
桜も もう終わりって感じがさ…」
「終わりじゃないじゃん」
「え？」
雅紀と視線がぶつかる
「桜はさ もう始めてんだよ準備を
またみんなにみてもらうために
楽しんでもらうために…」
雅紀の差し出した手のひらに
一片の花びらが舞い降りる
「みて翔ちゃん！
こんなにも潔く花びらを散らしてる
すごい覚悟だよね
全てはまた花咲かせる為だよ
俺たちがまた
この景色を待ってるって
きっと知ってるんだよ桜は
だから俺はワクワクして待ってるの
若葉に光を集めて
力を蓄えてるときも
葉を散らして
寒さにじっと耐えてるときも
ワクワクして待ってるの
また
満開の桜をみせてくれるんだねって」
俺に差し出された
雅紀の手の中の花びら
何だか無性に愛おしくて
大事にそっと受け取る
二人でしばらく
手の上の花びらをながめていたけど
花びらは風と共に
ふわりと舞い上がった
どれが手に降ってきた花びらなのか
わからなくなってしまった
その先を見つめて
雅紀がポツリとつぶやいた
小さな小さな声だった
なんだけど
とても力強くて
暖かくて
心に響いたんだ
「───── 待ってるよ」
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43(プロフ) - 読んでくださった皆様、ありがとうございました。「おげんきですか?」公開しようかやめようか…相当悩みました。でもあいたいんだもん…。不快な思いをされた方もいたかもしれません。申し訳ありません。いつかの再開を願って………。 (2021年3月14日 21時) (
レス) id: eb8e95ff3b (このIDを非表示/違反報告)
43(プロフ) - 読んでくださった皆様、ありがとうございます。にのちゃんの白いシリーズ、やっとこさ書き上がりました。自分で縛りを作ったクセに書けない…苦戦しました(>д<*) (2020年5月5日 0時) (レス) id: eb8e95ff3b (このIDを非表示/違反報告)
43(プロフ) - イェーイ(A担)さん» イェーイ(A担)さん嬉しいお言葉ありがとうございます！なかなかの亀更新で申し訳ありませんm(_ _)m今後も引き続き楽しんで頂けるよう、“頑張って”とまぁくん達に伝えておきます。(彼等がヤル気になってくれないと文字に起こせないのでw)ありがとうございました！ (2020年3月18日 6時) (レス) id: eb8e95ff3b (このIDを非表示/違反報告)
イェーイ(A担) - いつも見てます^ ^更新まだかなぁと、思っていつも楽しみにしてます^ ^ (2020年3月18日 3時) (レス) id: 758b98fb6a (このIDを非表示/違反報告)
43(プロフ) - 読んでくださった皆様。ありがとうございます。“白い息”と“白いカケラ”を書いた時は、何も考えていなかったのですが“白い”二つ目だな…なんて思って。“白い”シリーズ書きました。あとはニノちゃん。頑張るぞ！ (2020年3月4日 19時) (レス) id: eb8e95ff3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：43 | 作成日時：2018年11月28日 7時
