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「すまなかった……」
何とか聞き取れる程の 小さな声
「おいらに言ったって 意味無いよ」
「そう……だよな」
さっきまでの電話がうそのよう
塩をかけられた ナメクジみたいだ
おいら 絶対許さないからねっ
「何で 相葉ちゃんにあんなこと？」
回りくどいことはいらない
真意だけを知りたい
“Ｘ”は自分の手を見つめたまま
考えているのか？
話したくないのか？
しばらく動かないでいた
おいらがもう一度たずねようと
一呼吸吸ったその瞬間
“Ｘ”は やっと重い口を開いた
「君の口調からすると
あらかた知ってるんだろう？
最初は◯◯の仇をうってやるって
意気込んで乗り込んだ
◯◯のチャンスを潰されたとばかり
思ってたから」
ぴくりとも動かず 淡々と話す“Ｘ”
おいらは腕組みをして睨み付けたまま
その続きを待った
「相葉からやめたいって
自分から思わせるように
随分 姑息な手をつかったよ……
俺がどんな無茶をふっかけても
出来ないって言わないんだアイツ
時間は掛かるけど どこかできっちり
仕上げてくる
じゃあってさらに無茶苦茶なこと
やらせて 出来ないことを
攻め立てても
申し訳ありませんって
どうにかしようとするんだよ
いくら俺が心折れそうなことを言ったって
へこたれないんだよ
俺を恨むこともしないんだよ
何でなんだ？
何であんなヤツなんだ？」
顔を上げた “Ｘ”と目が合う
「正直 大野に声を掛けられた時
しまったって言うより ホッとしたよ…」
深く息を吐き出した“Ｘ”
「これでやめられるって？」
頷く“Ｘ”
「相葉に伝えてくれ
今まですまなかったって…」
伝えてくれ？ふざけんなっ！
冗談じゃない……
「イ…ねっ」
「え？」
「イヤだね 伝えてなんかやんないよ
自分で伝えろよ
おいらは 絶対伝えてやんないかんね!!」
あれだけ相葉ちゃん 悩ましといて
謝ることもしないで 姿を消そうなんて
絶対許さない
だけど………
次の日から
“Ｘ”は姿を消した
事務所に辞表一枚残して
相葉ちゃんに謝ることも無く ────
「って これがアイツがやめるまでの
おいらの知ってる 一部始終……」
気に入らないという表情のリーダー
たまたまリーダーが目撃した事が
きっかけになっただけで
遅かれ早かれ “Ｘ”は自ら辞めてたよ と
リーダーは言う
だから おいらは何にもしてないんだって……
でも リーダーが言ってくれたから
まーは解放されたんだよ
ありがと リーダー
しかしリーダー
随分便利な回想ツール手に入れたね…
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作者名：43 | 作成日時：2018年11月17日 10時
