動機 ページ8
入学してから数日が経ち、もう入る部活が決まっている子も続々と増えてきた。ソユンは言っていた通りテニス部に入部し、マシューくんにも面接こそあったもののすんなり通ったと事後報告された。
私も希望用紙の提出を済ませ、あとは面接の日を待つのみだ。
入部にあたっての面接の大まかな流れは志望動機を話した後に自己プレゼン、そして面接官(基本は部長と顧問らしい)との質疑応答で終わる。
人の気持ちとは不思議なもので、はじめこそ思いつきのような形で決めた演劇部だったが面接に備えて自己プレゼンを用意していくうちにどんどん自分が思ったより本気で取り組みたいことが自分でも分かってしまって、どんどん自分が選ばれて欲しいという気持ちが強くなっていった。
「でもさ、それって志望動機としてはどうなん、ってなるよね〜正直に言っちゃったらさ〜」
「う〜ん…… でも意外とみんなそんなもんなんじゃないかな。動機が立派だからって気持ちの強さとイコールにはならないし、正直に話しちゃってもAちゃんらしさが伝わっていいと思うけど」
「Aはさ、真面目すぎるよ。動機って言ったって何かが起きるより先に気持ちができちゃったならそれも立派な理由になるよ」
「マシューもソユンも人生相談室とかやった方がいいよ〜〜すごく気持ちが楽になった!」
二人の言う通りだ。面接でよく見える努力なんて自己プレゼンの時に最善を尽くせばいいだけで、頭でっかちに考えすぎたってよくない。部長の華やかな雰囲気に惹かれて入部を志した人たちだってきっかけはどんなものであれ演劇部じゃないとダメな理由を抱えて面接にまで挑んでいるのだから馬鹿にするようなことは許されない。みんな自分だけの切実さを持ち寄ってライバルとなるのだ。
そう強く思ったからこそ、一人のクラスメイトを中心に起きていたいざこざに居ても立っても居られなくなっていた。
悩んだ末に自分で見つけた答えだからこそ。例えそれが自らを鼓舞するためのもので、いささか都合の良い結論であったとしても。
そのクラスメイトとはハン・ヨンジン__学年でも一二を争うくらい目を引く美人。彼女が人気者の多いバスケ部のマネージャーを希望したという噂、ほんのそれだけのことが嫌悪感を纏ってクラス中に充満していた。
私は特にバスケ部に幼馴染がいるということで野次馬などに色々聞かれ、その悪意に晒されやすい立場にあったのもあり、ヨンジンについての悪い話も聞かされた。私はヨンジンと話したことすらないのに。
そしてその幼馴染、ギュビンが火の渦の中心にいたことを本人の口から知ることとなる。
199人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちさちさ(プロフ) - 3日放置されたこと根に持っちゃうメテュかわいすぎる笑笑 (9月20日 9時) (レス) @page13 id: 04b61e0faa (このIDを非表示/違反報告)
素麺アリス(プロフ) - gggさん» 本当だありがとうございます……!! (6月16日 15時) (レス) id: 279c8dc0ec (このIDを非表示/違反報告)
ggg - オリジナルフラグついてますよ…! (6月16日 11時) (レス) id: 5d35a1d14f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:素麺アリス | 作成日時:2023年6月15日 2時