マシューくんは気付かない (ページ6)

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部活動ページ6

始業式を終えて教科書販売だとか生徒指導室による集会だとかをバタバタと終え、すっかりへとへとになりながら教室で迎えたHRではクラス全員による自己紹介が行われていた。

「キムギュビンです。バスケ部に入ろうと思ってます！よろしく〜」

教室のそこかしこから小さくキャーと歓声が上がる。もう密かにファンがいるみたいだ。その後椅子に座ろうとしてコケてたけど。

「ソクマシューです。小学生までカナダにいました。よろしくお願いします！」

「カナダ……って帰国子女！？」
「えっかわいいかも……」

ニコニコと両手を振るマシューくんにざわつく教室。あ〜見つかっちゃったのかな。そりゃそうか、あのキラキラ笑顔はみんな惹かれるよね。なんだかちょっと寂しい感じ……勝手に。

「パクAです。映画を観るのが好きです。よろしくお願いします！」

私はどこまでも小物なのでこの程度の自己紹介で緊張して心臓がバクバクになるんだけど、なんとかそつなく終わったみたいで良かった。

リッキーくんの自己紹介はあまりにも個性的で、クラスに大きな爪痕を残していた。顔立ちもものすごく綺麗だからかすっかり女子の関心は彼に攫われたようだ。

「へ〜この高校って委員会も部活扱いなんだね」

「厳密にいうと委員会が生徒会の傘下で、生徒会が部活扱いって感じらしいよ」

「なるほどね〜」

HRの最後に配られた部活一覧の紙と入部希望の紙を交互に眺める。
この学校は部活動に力を入れているようで、始業式に各部活がやっていた部活紹介(無茶苦茶長い)で入る部活を決めてしまわないといけないらしく、かつどこかしらの部活には所属しないといけない。一覧の右端に小さくメモされた提出期限にさらに頭を悩ませる。

「ソユンはもう決まってるんだもんね？」

「うん私は中学から引き続きテニス部！部長さん綺麗だったな〜」

部活紹介、本当に本当に長かった上にこんなつもりで見てなかったから所々寝ちゃってて覚えてない。あ〜ミスったな……。
中学の時は生徒会だったけどう〜ん……

ウンウン唸っているとまっしろの入部希望用紙にかかる人影がもう一つ増えた。

「僕は内申欲しいから委員会の中から選ぶかな。文化委員とかきっちりしてそうで良さそうだった」

マシューくん、薄々感じてたけどものすごく真面目だ。マシューくんが引っ張るならものすごく楽しい文化祭になりそうだもんな。もうすでに文化祭楽しみだな〜

あ、文化祭といえば

「演劇部……」

演劇部は部活紹介で短めの劇をやっていた。本格的な劇は文化祭で披露するらしい。演劇部、いいかも。