俺の覚えてる兄貴 ページ2
泥水啜って、盗みして、人の弱みだけ探す。
そうしなきゃ生きられなかった。
世界は大人がいない子どもには見向きもしない。
だから、そうして世界に思い知らせるんだ。
俺はここにいて、生きてるんだって。
｢よぉ、新入り。…ま、ここには俺しかいねぇがな！｣
団子を呑気に食いながらそう言われて思わず顔を顰める。
当たり前だろう。
俺は今バカにされてるんだからな。
｢そんな顔すんな。俺に目ェかけてもらったんだ。これからの人生まあまあ良くなるぜ。｣
悪い顔してもう一本の団子を差し出した。
受け取るのは癪だが、食わなきゃコイツの前で腹を鳴らす痴態だけは避けたい。
素直に団子を受け取って、観察をする。
着物は高価じゃないが俺のように薄汚くもない。
団子を一人で食ってるなんて、金もあるはずだ。
きっとこの辺の普通の子どもなんだ。
｢なあ、一本じゃ足りねえだろ。座って食えよ。｣
｢……何が目的なんだよ。俺に餌付けして上手く使おうってか？｣
｢何言ってんだよ。そうして欲しいのか？そうなら早く言えよ。｣
｢……テメェ……。｣
睨むがちょっとも怯まないから余計にムカついてくる。
薄汚い孤児をみて愉悦に浸る。
ほんと、性根腐ってんな。
｢オバサン！！コイツにも！！お代はいつもので！！｣
｢はいはい。もう、ワガママなんだからねぇ。｣
ほら、と促されしぶしぶ座ると勝手に話し始める。
｢お前、なんでここに来た。｣
｢何でとかねぇよ。気づいたらここにいた。｣
｢ククッ…なあ、俺と一緒に来ねぇか。お前にいい事しかねぇぜ。｣
｢……そんなこと俺が決める。｣
自分勝手な物言いに自然と眉間にシワがよる。
コイツ……何しようとしてんだ…。
｢はい、お待ちどうさま。Aちゃん、また今度お願いね。｣
｢はいはい。俺に任せとけばいいんだよ。｣
…なんだこの会話。
こいつがこの店に、何か恩を売ったんだろうが……。
｢俺も孤児だ。親はいねぇ。｣
｢……知らねぇよ。｣
｢なに意地張ってんだよ。俺と来い。…孤児ってのは頭が悪ぃからな。｣
｢うるせぇ。それでも生きていける。｣
｢生きる確率を上げられるんだ。問答無用だぜ。死なねぇように賢くなろうぜ。｣
団子を食い終わったのを見計らって俺の腕を引いて走り出す。
……本当になんなんだコイツは。
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シホニャン - 更新楽しみにしてます。獪岳、実弥推しなので嬉しいです。 (2020年3月27日 13時) (
レス) id: 39a09b6cce (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 続き、楽しみにしています!。 身体を、労りながら、頑張ってください。( ≧∀≦)ノ (2020年3月2日 3時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょーりん | 作成日時：2020年2月29日 20時
