遊郭潜入大作戦 ページ8
未だに食べ物に手を伸ばす嘴平くんを宥めているうちに話は進んでいたみたいだ。
｢お前らには
俺の嫁は三人共優秀な女忍者、くの一だ。俺が客として潜入した時鬼の尻尾は掴めなかった。だから客よりも
もっと内側……任務とためとはいえ、かなり覚悟がいるだろう。
お嫁さん達も、宇髄も。
彼女らの頑張りを無駄にしないためにも柱である俺が頑張らなくてはな。
｢怪しい店は三つに絞っているからそこで嫁を探して情報を得る。
�爐箸�と屋�瓩�｢須磨｣
�牴�本屋�瓩�｢まきを｣
�犁�極屋�瓩�｢雛鶴｣だ。｣
｢…嫁もう死んでんじゃねぇの？｣
｢！！？コラッ、｣
ドゴォッ！！
俺の監督不行届だ。
まさか、あんなこと言うなんて……。
｢ご入用の物をお持ち致しました。｣
｢どうも。｣
そう言い、部屋に持ち込んできたのは化粧道具と着物。
気絶していない竈門くんは何をするのか分かっていないようで首を傾げていた。
今からするのは変装。
｢おい京極、お前どれ使う？｣
｢白粉と紅、あと筆さえあればいい。｣
｢えっと、随分慣れてるんですね？｣
そう聞かれ、まあ、慣れているといえばそうだが、と濁しながら答えたが、なんだか腑に落ちなかったみたいで。
｢同じような任務が過去にあっただけだ。｣
｢あん時の客、まだお前のこと探してるとか噂聞いたことあるけど。｣
｢噂だろう。信じるな。｣
そう、俺はこの遊郭に過去に二度訪れたことがある。
一度目は今回のように女性に変装しての調査だった。
俺は声は低いから極力喋らないようにしていた記憶がある。
二度目は男娼としてだった。年は厳しめだと思っていたんだが、如何せんお前は童顔だと説得され渋々向かった。
……いやな思い出だ。
ふるふると遠い記憶を消し去り、化粧に集中する。
眼帯を外すと動かない瞳が現れる。
それに傷も。前の任務でもなんとか隠し通した。
顔に傷があるなんて、以ての外だからな。
宇髄が我妻くんと嘴平くんを叩き起していたとか知らない。
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年11月3日 23時
