【鬼滅の刃】灰燼に帰す【男主】 (ページ35)

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最期ページ35

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俺は奇跡的に目を覚ますことが出来た。

無理に体を起こして、周りを見渡すと少し遠くに嘴平くんが飛んで堕姫の方に向かって行っているのが見えた。

よかった、動けたんだな。

俺はグッ、と足に力を入れて、立ち上がる。

俺も向かおう。彼らの手助けをしよう。

背中からの出血は止まらないし、もう止めても無理だろう。

それでも、この世を脅かす鬼を殺す。
自分を犠牲にしてでも、今を守るのだ。

ここは、俺の死に場所だ。

きっと、俺はこの戦いで死ぬ。
俺は毒に耐性がないし、この出血では希望はないだろう。

……いや、希望はある。彼らだ。
あの三人は強くなる。

だからこそ、俺はこの俺の思いを君たちに背負わせる。
酷いことをしているのはわかっている。
でも、俺の思いなど、軽いものだ。

そのぎゅうぎゅうに詰められた思いの中に一欠片でいいから持っておいて欲しい。

君たちの元に向かう俺の一歩はこんなにも小さくて弱い。
君たちのその駆け上がるような速さに感動する。

この世界に絶望などするな。

君たちのような若者がいる限り、世界は希望に溢れているんだ。

……本当は俺だって、もっと生きていたかった。

今、苦しいんだ。
この頭が、胸が、死にたくないって叫んでいるんだ。
苦しくて、辛くて、悲しくて、。
死が目の前にあるのはこんなにも怖い。

こんな風に死にたくない。
まだやり残したことが沢山あるんだ、やりたいことがたくさん…………。

悔しくて仕方ないんだ。
至らない俺の実力も、俺の上をいっていた鬼の強さも、何もかも、憎たらしい。

死にたくない。

俺は煉獄のように、胸を張れない。

結局、俺は決意の足らない人間だったんだ。

後悔まみれで、意地汚い。

ああ、くるしい。

格好のつく最期くらい、望んだっていいじゃないか。