虫ケラボンクラのろまの腑抜け ページ30
*
思い出すのは、君との思い出だ。
いや、思い出というか、記憶というか。
｢おい、貴様、その傷はなんだ。｣
｢えっ、あー、その、まあ｣
｢歯切れが悪い！！さっさと吐け！｣
彼の言う�狃��瓩箸六詢呂鮗困辰榛弧椶硫爾砲△襪發里澄�
ずいっと迫る彼に、俺はこんなこと前にもあったなと呑気に考えていた。
｢…なんだ？言えないようなものなのか？｣
｢ああいや、そうではない。いやー、こんな風に言うと起こると思ったんだ。｣
｢そんなのは言わなければわからない。いいからさっさと言え。｣
かなり強い口調だし、態度もでかい。
でも、これが彼なりの心配だとわかっているから。
｢わからないんだ。｣
｢は？｣
｢何が原因かも、どうやったら治るのかも、わからない。｣
胡蝶に聞いたがこちらにもわからないと微笑まれてしまった。
彼女にわからないのなら、わからないのだ。
何となく俺にはわかる気がするが。
それを言葉に表せられないので、わからないと伝えるしかない。
案の定、彼はぎゅーっと眉間にしわをよせ、不機嫌になった。
｢でも痛みはないし、害はないし、心配はいらない。｣
｢貴様を心配などしていない。｣
わかっているとも。
君のことはよくは知らないけれど。
短い付き合いだけれども、その心の底にある、不安が時々、見え隠れするのだ。
俺は君を安心させる言葉は思いつかないし、もし仮にそれを言えたとしても君は素直に受け取らないだろう。
｢そうか。……なあ、飯でも行かないか？｣
｢……………………俺は任務がある。｣
｢わかった。なら、また誘わせてくれ。｣
俺が誘うときはいつも任務がある君は、俺の事はよく思っていなかったのだろうか。
強く、誰かを守れるようになればいいのだろうか。
そうすれば認めてもらえるだろうか。
……そんなものだ。いつも俺は。
(ああ、思い出したくない記憶だ！)
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年11月3日 23時
